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甘瓜みるきの「かわいい」と偶像と世界と信仰について


・甘瓜みるき

 現在放送中の女児向けアニメ「ワッチャプリマジ!」に登場する、甘瓜みるきちゃんが大好きです。
 先ずは、甘瓜みるきについての話をしますね。

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 甘瓜みるきちゃんが、初めてその個性の強すぎる性格でオタクたちを仰天させたのは2話終盤。自分の代わりにライブを披露してくれたまつりちゃん(主人公)に対し、「コーデカードくれお!」「私が上がる予定のステージで出たカードだお? 私がもらうのが筋ってもんだお?」と、とんでもない理屈であますことなく強欲さを見せつけてくる。しかも、やる夫のような口調で……。

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  さらに、プリマジには「~でござる」「それなんて○○ゲ?」「ワロえない……」と古語を操るオタクが登場するのですが、そちらはまた別の話なので割愛します。なんなんだこの女児アニメ……。

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 主人公であるまつりちゃんは聖人のように良い子なので、生で見るみるきちゃんの可愛さに興奮し、思わず言われたとおりにカードをあげそうになります。プリマジ世界は、本当に性格の悪い女たちと聖人である主人公とひな先輩によって奇跡的なバランスが成り立っている。

 とは言え、このシーンのやり取りは重要で、みるきちゃんの傲慢さに対し、それを上回るほどの可愛さに溢れていることが証明されているわけです。この「~だお」とAAのような語尾で喋る性格の悪いアイドルの出現に、オタクたちのハートはわしづかみ。

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 ちなみに、そんな優しさの塊であるまつりちゃんに対しての、みるきちゃん側からの評価は「名前のとおり おめでたい子ね」です。迫力のある女が日曜日の朝から出てきたもんだぜ。

 ここで少し脱線ですが、僕は語尾のあるアイドルキャラが大好きです。徹底的にキャラ付けすることで、自分の信じる可愛さを貫こうと、ファンの望む「偶像」であろうとしているから。そういった意味で、「Re:ステージ! ドリームデイズ♪」に登場する「長谷川みぃ」も大好きでした。本編中で、つねに「みぃみぃ」うるさくて最高でしたね。
 そんな中、「だお」が語尾のアイドルに殴られた衝撃は忘れられません。プリパラには、語尾を聴いた瞬間に発狂するキャラクターが居ますが、やっぱり語尾って良いよね……。アイドルとしての姿勢が分かりやすく表現されていると思う。


・顔が良ければ全て良し

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 その後も、みるきちゃんは性格の悪さをふんだんに発揮。自分を尊敬してくれるまつりちゃんが素直であることを良いことに、わざわざ遠くの自販機にパシリさせたり、わざと可愛くないポーズを教え込ませたり、これで本人が実力者でなければ最悪のキャラクターです。

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  ここに至っては、精神体がはみ出た状態で「そのまま散れお!」という富野節っぽいセリフを放ったせいで、Zガンダムみたいになっています。スパロボにみるきが参戦したら、攻撃時のセリフは間違いなくここですね。

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 でも、そんなみるきちゃんに対して、視聴者は好感を持ってしまうのですね。もちろん、平和な世界観にあるまじき性根の悪さと見た目のギャップによるキャッチーな部分もありますが、節々から伝わる彼女の「かわいい」に対する絶対的な自信を信じているから。

 前作「キラッとプリ☆チャン」にも、かわいいに強く拘りのある「金森まりあ」ちゃんが登場しました。まりあちゃんの場合は、「全人類平等にかわいい」という思想が行動原理でしたが、みるきちゃんの場合は「甘瓜みるきが世界一かわいい」ことを前提に生きている。
 この「かわいい」に対する、新たな答えを甘瓜みるきが見せてくれるのではと、僕らは期待してしまっているッッッ!

 ↑金森まりあちゃんについては、お暇なときにでも過去記事を読んでみてください。読まなくていいです。

 私事で恐縮ですが、僕は「性格の悪さを顔の良さで全てをカバーする女」が大好きでして、現在Steamにて、そのようなゲームを開発中です。来年1月に発売するので、みんな買ってね。

 そして、その最たる例として、坂口安吾の「夜長姫と耳男」に登場する「ヒメ」が大好き! 自分の美貌への信仰のためなら、周囲の迷惑なんて些細なことと考えているような、ある意味での気高さに、真の美を感じているのかもしれません。青空文庫にもあるから、みんな読んでみてね。
 でも、せっかくなら夜汽車先生の美麗なイラスト付きの方をお勧めします。「美しさ」の説得力が違うので。

 閑話休題。なぜ顔の良さに拘るかはともかくとして、話を甘瓜みるきちゃんに戻します。


・甘瓜みるきのここが好き!!!

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 5話終盤では、ついに甘瓜みるきのライブが披露されます。
 このライブを勝ち取るまでに色々と策略を駆使していまして、本当にこの子はいい性格してるな! と嬉しくなってしまうのですが、とにかく満を持してライブが始まります。
 さて、この子はどんな歌を見せてくれるのかな……とドキドキ。ここから始まる一連のセリフから、ようやく僕はみるきちゃんの本質を知って、大好きになってしまうのです……。
 有能なカメラマンから「かわいいしか無い」と指摘されたことに対し、

 「かわいいしか無い! じゃなくて、かわいいのは みるきしかいない」

と寧ろ自信満々に振る舞うみるき。ここで安易に「かわいい以外にも必要なものがあるのか?」と悩むような構成でなく、「自分のかわいさを誇る」方向でキャラ付けした脚本に、ありがとう……それしか言葉が見つからない……。

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 「もちろん、ここからは計画も策略もない……マジで行くお!!」

 そしてメイクアップ。ライブ前には、どんなに策略を練ってこようとも、ただ「かわいい」を証明すれば良いライブにおいては、実力のみで勝負すれば当然自分が勝てることを理解している。いいよね……。

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 かわいい!!!
 さらに、自分が一番良いと思ったのは、この後の口上。これが本当に素晴らしいんだ……。

 ステージ裏、たくさんの観客が待っている前で、彼女はコンパクトミラーに映った自分と対話する。

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「あなたは誰?」
「甘瓜みるき」
「あなたを見ているのは誰?」
「世界中」
「あなたはどこを見てる?」
「世界」

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「だって、みるきが世界一かわいいから! ……だお」


 ワッチャプリマジ!CGライブステージ03「イワナイ」……100点!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 このライブ前の自身との対話がね、良いんですよ。みるきちゃんの魅力がすべて詰まっていると思う。


・自分を世界で一番かわいい「甘瓜みるき」だと認識する。
・そして、甘瓜みるきを観測している者は誰かについて、「世界=ファン」であることを確認する。
・世界に観られている甘瓜みるきは誰を意識しているか、「世界=ファン」

 これはアイドルの……ファンからの信仰の対象である「偶像」としての在り方として最も正しく感じる。
 僕は「優しさ」について、相手を理解することだと解釈しています。相手がなにを望んで、なにをしてもらいたいかを考えることこそ、相手を真に思いやる行動であると思う。
 その理屈で言うならば、「世界」「かわいい自分を観る」ことを望んでおり、「自分」「その可愛さを見せるために世界を観ている」
 「自分」である「甘瓜みるき」は絶対にかわいいモノとして存在するべきで、そのためなら計画や策略、周囲に傲慢な態度を取ることも一切厭わない。自分が可愛くある事実を「世界」が最も望んでいることを知っているから。


・偶像について


 ここからは、僕の「偶像観」の話になるのですが、僕は最近では東方原曲「偶像に世界を委ねて ~ Idoratrize World」を聴きながら、偶像について想いを馳せる時間があります。祈りですね。

 自身が信仰する「偶像」に全てを委ねて、敬虔な信者として生きることがオタクの喜びではないかと思う。そのために、偶像は絶対的なモノとしてファンを、信者を喜ばせなければならない。これは先述した僕が製作している配信者育成ゲーム「NEEDY GIRL OVERDOSE」のシナリオを書き終えての結論です。

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 それならば、ファンが望む「かわいい」を提供するため、自分が最も「かわいい」存在であると信じ込んでいる甘瓜みるきは、信仰の対象としてなんと正しいモノだろうか。
 今後、みるきちゃんがどのように成長し、どんな人格を得ていくのか楽しみで仕方ない。プリマジスタッフが考える、金森まりあとも違った「かわいい」を盲信する少女のたどり着く先を、毎週静かに見守っていこうと思うお(^ω^)。


 ↓ちなみに、こちらはプリチャンでの好きな回のお話です。読んでみてね。さよなら。


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