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鬼太郎6期がとても素晴らしかったので、良かった点を話していく

 先日、鬼太郎6期が最終回を迎えました。5期鬼太郎が打ち切りエンドだっただけに、今回は綺麗にまとまったラストで大満足です。

 鬼太郎6期といえば、やはり時代に合わせてSNSやYouTube、セクハラ問題、外国人労働者問題など、現代ならではのテーマを多めに取り入れたことでしょうか。
 水木先生の作品自体が、当時から見ても一世代前なレトロな世界観であるので、歴代鬼太郎も放送された時代から多少古めな時代性になる印象がありました。そこが鬼太郎、ひいては水木作品の良さでもありますが、6期は思い切って現代に極振り。

 ねずみ男の悪事も令和らしくパワーアップ。この経験を通したおかげで、ねずみ男は最終的に「コミュ障の鬼太郎ではできない現代人との交渉役」をこなせるようになり、今作だからこそのポジションを手に入れたのは見事だなと。鬼太郎をはっきり「コミュ障」と断言できるのも、ねずみ男だから言える訳ですし。

 新キャラである犬山まなちゃんも、安易に「鬼太郎に惚れる人間の女の子役」でなく、猫娘の方に懐く女の子であるのも一捻りあって素晴らしかった。もちろん、百合としてのみでなくて、今作の猫娘がアダルトな姿である意味の補強になるのも含めて良い……。

 猫娘の等身を上げて鬼太郎よりも長身にした意味は多分にあるので、今だに猫娘のキャラデザを批判するオタクが居たら遠慮なく殴り返してください。

 特に良かった回・描写の話をしましょう。

 第15話「ずんべら霊形手術」は、女性の承認欲求という欲望を描いた名作。
 「ロリータ服のブス」「男性アイドルの追っかけ」「承認欲求」の現代らしい要素に妖怪を加え、児童向けの綺麗事でなく、6期らしいダークな路線に落とし込めている、お気に入りの回です。

 第67話「SNS中毒VS縄文人」は、SNS文化に毒された現代を風刺した回。
 現代に蘇った縄文人を、インスタで晒し者にすることでねずみ男が儲けていく……といった内容ですが、注目すべきはねずみ男の行動力とバランス感覚で、縄文人を利用して儲けた代わりに彼にも正当な報酬を与えており、この回の行動だけ見れば一概に彼を悪だと切り捨てることはできない。

 恐らく6期で最も話題になったのが84話「外国人労働者チンさん」。南方妖怪チンポの名前を逆手に取り、その直球なネーミングをこれでもかとギャグに昇華させた上で、外国人労働者問題にも切り込んだ贅沢な回。
 「本当に怖いのは妖怪以上に人間」要素を、あの手この手で見せてきます。
 6期鬼太郎のギャグ回は総じてハズレ無し。ちなみに鬼太郎4期で作画が最も良いシーンの一つに劇場版でのチンポとの戦闘があります。

 構成が一番見事に感じたのは、93話「まぼろしの汽車」

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 6期鬼太郎の見どころの一つでもある猫娘の恋心。彼女がついに鬼太郎への告白という行動にでられた理由は「夕焼けがあんまりにも綺麗だったから 
風がとても優しかったから」
……妖怪である前に乙女であることがわかる詩的なセリフ。
 が、この回は恋愛のみがテーマでなく、本筋はタイムリープもの。なんと「鬼太郎との恋の成就を取るか、世界を救うか」の二択をタイムリープし続ける猫娘に選択させる凄まじい内容。美少女ゲームだったら2クールは使う展開。

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 タイムリープしていくに連れ、壊れていく猫娘のメンタルを、スマホのヒビで表現する残酷な演出……100点!!!
 世界が滅ぶ理由の一つに「鬼太郎が猫娘の恋心を知ったせいで彼女を守ることを優先した」事実もあり、どこまでも猫娘の精神を追い込んでいく鬼畜の所業。
 この壮大なストーリーを一話に纏めたのはお見事。鬼太郎と猫娘の関係を完璧に描ききった、6期の中でも出色の出来の回でした。

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 39話で「ギャルゲーにハマる鬼太郎」など、大胆にキャラ付けを加えたのも高評価です。目玉おやじが妙に乗り気なのもポイント。悪ノリ具合もキャラ崩壊まではいかず、不快にならない範囲に留められる絶妙なさじ加減。

 とても楽しめた2年間でした。次の鬼太郎が見られるのは10年後でしょうか。7期になった際は、今作ともまた違った新たな挑戦があることを期待しています。

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