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一口エッセイ:一人バー初体験……大敗北

 世間ではゴールデンウィークらしい。ある意味、年中休みな自分とは関係がないので、それが悲しくなって夜の街を歩いてみることにします。初の一人バー体験。目の手術をしたばかりなので、奥に並べられたボトルに反射する光が眩しい。
 カウンターの別の席に座る男性たちと店員さんたちは仲良く談笑する。人恋しくて入ったのだから、僕も会話に混じらなければと思いつつ、タイミングを逃し続けて黙り込む。フォロワーからは「にゃるらさんって結構、グイグイ話すタイプですよね」と言われますが、それは誤解でして、僕はむしろ自閉症なりに他人とコミュニケーションを苦手とするタイプです。「にゃるら」を認識している相手なら良い。その時点で、ある程度のインターネットやオタクコンテンツの知識がありますから。ネットやアニメ、本、精神、サブカルなど、総当たりで質問していけばどれかに引っかかるわけで、反応した分野から話を展開すればいいとパターン学習で覚えているのです。しかし、初対面かつ僕を「にゃるら」と認識していない人間は違う。僕に興味がない相手と会話を繰り広げるパターンが、自分の頭には無い。ガールズバーやコンカフェであれば、客の貯金を搾りとるため向こうから話しかけてくれますが、バーの場合はそうもいかない。


 しばらく沈黙を保ったのち、次なるステップとして度数が70度もある魔のお酒「アブサン」を注文します。このお酒のヤバさは数値でわかる通りでして、あのマリリン・マンソンも愛好してプロデュースした程。マンソンはアブサンを「夕暮れ時」と表現しており、お酒を黄昏と重ねるセンスに感動した覚えがあるのですね。こんなとっておきのアルコールですから、店員もなんらかの反応を始め、そこからマンソンの小話でもしてみようと試みるも…………特に反応なし!!! 全くもって冷静にアブサンのショットを出してきます。え!? アブサンだぞ??? と思いつつ飲み干す。自慢じゃありませんが、僕は沖縄人(うちなーんちゅ)。ちょっとやそっとでは全く酔わず、酒を楽しめないからこそ睡眠薬に走った過去があるのですね。その節は、ご迷惑おかけしました。
 次なる一手は「ピンクレディー」。名前の通り、ピンク・レディーの元ネタとなったカクテルでして、僕は「初代オモシレー女」としてのピンク・レディーが好きなのです。セクシーな格好のお姉ちゃん二人組が変な歌を真剣に熱唱するんです。良いよね……。『カメレオン・アーミー』が特に好き。振り付けが難しすぎて、本人たちも扱いに困っている話がドラマチックで良いんだよな。しかし……ピンクレディーも特に何もなくポンと出されて終わった。恐らく、僕が「話しかけられずに静かに楽しみたい客」だと思われているかもしれません。まぁつねに目のクマが取れずにやつれた顔してるしな。
 そんなこんなで粘ったものの、特に何かが発展せずに退店。先述の通り、僕は大して酔わないので、楽しくもなく帰宅して今に至る。まだ一人でバーを体験するには早かったかもしれない。相互のフォロワーさんは、気軽に僕を何かに誘ってください。毎日、家でアニメを観て本を読むだけの日々。いっそアルコールに逃げられたらいいのに、故郷の沖縄の血が邪魔をする。何処で答えを探せばいい?

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