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「ラ・ビ・アン・ローズと呼ばないで」における、うさだヒカルとしてのキャラクター性の完成度

 ※過去にウケた記事をnote用に加筆修正したものです。

うさだヒカル

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 最近、ラ・ビ・アン・ローズことうさだのファンアートをよく見かける気がします。数枚見かけただけの事を脳が拡大解釈しているだけかも知れません。
 とにかく、今回はうさだの話をします。

 うさだと言えば、二代目声優の方がブログで異常なほどにアスラン(種)への愛を語り続けてファンたちもドン引きしたことで有名ですが、90年代らしい特徴的なパーツや、オタク心をくすぐる貧乏苦労人アイドル設定、でじこに弄られつつも時折見せるアイドルとしての誇りや自信など、魅力の枚挙に遑がないほどに人気を築いたキャラクターです。
 今でもバニーモチーフと言えばうさだを連想する方も少なくないほどに完成されたデザインですね。

「ラ・ビ・アン・ローズと呼びなさい」

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 やたらと歌詞で2000年問題に拘るワンダフル版デ・ジ・キャラットでは2話「ラ・ビ・アン・ローズと呼びなさい」からでじこのライバルとして登場。ここのタイトルはワンダフル版うさだを語る上で非常に重要ですので記憶に刻んでおいて下さい。

 適当なでじこに振り回され、時には爆破されたりと、とことん不憫な目に合わされるも、視聴者が同情しない程度には自身も高飛車でウザキャラといった絶妙な塩梅。この調整は脂が乗っていたブロッコリーだからこその芸当。

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 メイン回である9話「それなりにロマンチック」では、ゲーマーズのオタク客の中で唯一まともな容姿をしているミナタクとの恋愛面が描かれます。と言っても、うさだ側は「両親が突然サイコロだけを渡して船でアメリカに行った」と謎の生い立ちを語るだけですが。なぜサイコロを渡したのか、うさだの両親がなんだったのか等は、当然ワンダフル版では語られません。

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 霧賀ユキ先生による名コミカライズ「でじこ☆あどべんちゃー」では、ほぼ恋仲のような仲にまで発展しキスシーンまで披露。でじこのファン層である客がデブやメガネのガチのキモオタとして描写されている分、恋愛要素は顔の良い二人が全て持っていきました。

 ですが……

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児童向けに設定が一新された「デ・ジ・キャラットにょ」や、にょ設定に準拠したコミカライズ版「デ・ジ・キャラットラ・ビ・アン!―うさだの恋の物語 」では、きよし君なる新キャラが恋の相手に

 ワンダフル版から追っかけていたオタクにとっては、精神的寝取られのような結果となりました。


ラ・ビ・アンローズと呼ばないで

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 本編後のスペシャルではOPでデフォルメされた可愛らしい姿が。このノスタルジックな雰囲気はセル画でしか再現できないでしょう。
 「Di Gi Charat お花見すぺしゃる」では、トリとしてうさだメイン回「ラ・ビ・アン・ローズと呼ばないで」が放送。

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 聡明な読者の皆さんはお察しの通り、タイトルである「ラ・ビ・アン・ローズと呼ばないで」は、本編初登場回「ラ・ビ・アン・ローズと呼びなさい」と対になっていまして、うさだにガチ恋しすぎて遂に同じ中学に転校してきたミナタクに対し、クラスの皆に自分の正体がバレないよう、ここではうさだと呼びなさいと注意する場面から始まります。学級委員姿の真面目で年相応な格好のうさだが可愛い。

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 一方、ゲーマーズではでじこの頭がおかしくなってしまい、「ラ・ビ・アン・ローズさん、先日はありがとうございました」と、語尾の「にょ」まで消えて極めて礼儀正しい態度に。慇懃無礼に振る舞っている訳でもない事を察したうさだは、ライバルが消えて逆に困惑してしまうことに。

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 これでは調子が出せずにこまったうさだは、でじこの頭を元に戻すため学校をサボって冒険の旅へ。すかさずミナタクも同行し、二人で治療に効くクスリを取ることに成功。鼻の上の線が90年代らしさを感じて好きなカットです。放送は01年ですが。

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 ワンダフル版では夕陽のカットが多く、セル画の色と相まって非常に綺麗です。今回も例に漏れず夕暮れ時の背景が効果的に働いています。
 冒険を通し、ミナタクの男らしさを感じたうさだ。実質3分アニメだった本編では収まりきれなかった恋愛要素に視聴者もドキドキ。正にスペシャルな内容。
 正気に戻って早速「うさだ~」と弄ってくるでじこに対し、「ラビアンローズと呼びなさ~い!」と怒っていつも通りの光景がゲーマーズに戻ります。

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 そして翌日、ラ・ビ・アン・ローズは、ただの女子中学生であるうさだに戻って登校。校門前で待機していたミナタクと対面。ここのデフォルメ具合もいい味出していますね。

「よかったね、ラ・ビ・アン・ローズ……」

「昨日は色々助けてくれてありがとう、でもね……」

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「学校ではラ・ビ・アン・ローズと呼ばないで!」

 見事なタイトル回収での締め。本編では全く意識させなかった「表では目立たない真面目な学級委員のあの子が、裏ではラ・ビ・アン・ローズと名乗るド派手で愉快なアイドル店員」という、正統派美少女要素を余すことなく描き切った名回でした。

 普段は見れない、うさだからのでじこへの感情も垣間見える長尺ならではの構成に涙が止まりません。

 まあ前述した通り、ここまでミナタクが献身的に愛を捧げようとも、「にょ」では別の男に変わっているのですが。


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