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いまだインターネットへ真剣

 別に日本だけにこだわる必要無いなと海外のSNSや掲示板を眺めることが増えた。
 僕は日本人なので、日本のオタクの動向をうっすらとしか追わなくなったことで感覚的には「インターネットに飽きた」と認識していた。そもそもスマホを開く時間は著しく減ったし。
 で。せっかくなので各国のSNSの運営方針を調べているうちに、現Twitterがいいね欄を非公開にしたことの合理性がわかってきた。
 当然、巨大なSNSで利益を得るには、広告か課金が必要となる。そもそもTwitterはイーロン前から赤字だ。存続するために両方とも必須であり、別に金儲けのために改変されていくわけではない。なんなら最初は叩かれていた認証性は極めて正しく、どうせ今のTwitterにもしがみつかないといけないのは、活動を宣伝する企業かクリエイターであり、この人たちは課金してでも投稿をする価値がある。なんならインプレッション数によって課金した額以上が戻ってくるんだし。
 そして全ての通知に「認証済み」がついた。認証されたアカウントは、上記の理由である程度の分別がついている。大衆からの反応に疲れたら、この欄だけを見ればいいし、一定以上SNSに真剣なアカウントは認証済みに集まるのだから、みな自然とこの欄への優先度が高くなる。思った以上に課金の恩恵は強い。
 いいね欄が非表示になったことで、刺激的な情報や画像などへのいいねが軽くなった。つまり、「他人の感情を刺激しやすい投稿」がおすすめ欄に登場しやすくなり、それらはリツイートを通してインプレッションが高まり、数字に伴い広告も回っていく。
 人々は広告を回すために感情を増幅されている。現に、一部の人間は年中怒ったりなにかを叩いてバカにしている。人間の感情は本来そんなに安直でないのだが、これは当人へ回ってくる投稿や回りやすい投稿の傾向がそうさせている。「Twitterに感情を増幅されている」わけです。それはいいねを非表示することで加速する。
 最も回りやすい要素はエロでしょう。R18とまではいかなくとも、セクシーな画像のいいねされ易さは増えたはずだ。それはイーロン自体がデカケツをいいねしまくり、その様が晒されることまで含めて「非表示後のTwitterの使い方」を示した。開発者がAPIを叩けば今もいいね欄が覗けることに気づかないわけがない。「広告が回るしみんなが喜ぶんだからデカケツをいいねしろ」、というメッセージは理にかなっているように思える。
 慈善事業ではないのだから、人口が膨れ上がったTwitterで広告や課金を促しつつ、程よく大衆を楽しませながら企業たちが宣伝し易い環境にするには、今の形は効率がいいでしょう。海外の他SNSやプラットフォームは、もっと過激だったり、まだまだ小規模だから成立している様子を見るに、なんだかんだ人々がしがみついている現Twitterは上手くやっている。
 感情増幅装置なのだ。みんな本気でそんなこと考えてないのに、まるで善悪がはっきりしているかのように振る舞う。インプレッションと好感度の奴隷なのだ。だから僕はTwitterには、こうして日記を投稿するため、あとはほぼ活動の発表に限っている。僕の感情は自分だけのものにしておくから。
 そんなタイムラインに嫌気がさしたなら、デカケツでもいいねしておすすめ欄を平穏にカスタマイズし、通知は認証済みだけを見ればいい。大衆たちが広告を回しているステージとは別に、あなたはバッチがついた世界で暮らしてねということも可能っちゃ可能。なるほどね。
 そんなんなので、せっかくだから海外のオタクたち、カルチャーを眺めてTwitterを見る時間が減った旨をプロデューサーに話したら、この感覚へ非常に興味を持ってもらえた。「お前よりインターネットを見てる真剣なやつ日本にほぼ居ないよ」とまで。プロデューサー側がそう認識しているということは、この能力はまだまだ特異なのでしょう。
 なんてことはない。僕はTwitterに飽きただけで、むしろ世界のインターネットへ目を向け、視界が広がったことで、(一旦自分の中のネット観へ区切りをつこた)ニディガ以前よりもさらにネットを好きになっているのである。言われて気づいてさすがにワロタね。
 海外のオタクカルチャーは、まだ日本に比べて素直だ。加速しきった日本にない純粋さと混沌が現存し、寂しいオタクたちがたくさんいる。日本のように簡単に現実で仲間ができないからね。僕はその様子を眺めるのが好きなんだろう。結局、僕は死ぬまでカルチャーが大好きらしい。

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