「飛影はそんなこと言わない」ようでギリギリ言うラインを探る
※過去にはてなブログの方で書いてウケた記事のリメイクです。
僕は幽遊白書だと飛影が一番好きです。次点で奴隷商人痴皇。
公式の人気投票でも飛影は1位を獲得。人気投票中のタイミングで初の黒龍波をお披露目したりと、飛影にはあざといところがあります。
さて、幽遊白書はBL人気も非常に高い作品でした。後述する「飛影はそんなこと言わない」の元ネタも、実は飛影と蔵馬の二人の関係の虜となった女性からでたセリフです。実際は言っていないのですが、ややこしいので後で解説します。
ちなみに、現代になるにつれ多様性が広がったおかげか、昨今の幽遊白書リバイバルブームでは桑原絡みのBL本や女性人気が増加。登場キャラクターを彼氏と見立てた乙女向けシリーズ「ユウハク+カレシ」では、桑原が彼氏として登場する短編も複数確認できます。この流れですと、スラムダンクにも再ブームがきた際には、流川の相手は三井でなくゴリになるのかも知れません。
因みに、これは僕が「飛影はそんなこと言わない」ネタで好きなツイート。大胆に勝負を仕掛けてくる姿勢が幽助のようで素敵。
「どもー!飛影でーす☆」の出だしの強さもさることながら、ラストの「それじゃまた!邪王炎殺黒龍波!!」の適当さも良いですね。誰もが「飛影はそんなこと言わない!!」と突っ込んでしまう魔性のツイートです。
さて、それでは「飛影はそんなこと言わない」というネットスラングが、どのような経緯で発生したスラングなのかを見ていきましょう。
■「飛影はそんなこと言わない」の元ネタをたどる
「飛影はそんなこと言わない」は、とある処女モノAVで発せられたとする名台詞です。このフレーズはご存知でも、元ネタがなんなのか、または元ネタがAVであることまで知っていても、それがどのようなAVかまでは知らない人が殆どでしょう。
上記キャプ画像が元ネタのAVなのですが、タイトルは「欲情列島宅配便スペシャル 28才処女は実在した!?」。
「飛影はそんなこと言わない!」と叫ぶAVがあると噂だけが一人歩きしたものの、誰も詳細は知らない状態のまま月日は過ぎ……ある日、元ネタとされているAV(通称「黒の章」)がDMMにて300円で配信されます。
掻い摘んで内容を整理しますと、28歳処女である腐女子が、自身を蔵馬に、男優を飛影と見立て処女喪失をするという地獄の体現のような内容。28歳こじらせ処女、フィクションの世界では可愛らしく描かれるものの、現実ではB級妖怪以上の迫力を感じる。
この動画配信のおかげで、実際には「飛影はそんなこと言わない」と発言していない事や、ついでに予想以上に処女の女優がやたら生意気な事が発覚。処女喪失のためにスタッフに幽遊白書を理解させようと必死になる28才処女の剣幕や、それに対しどんどん疲弊していく男優たちの様子は必見。
実際に動画を観ますと「飛影……好きだ……」「飛影そこは……痛いけど……続けて欲しい……」と完全に向こうへ達している女優の演技を目にすることができ、「オレ、飛影のこと絶対忘れないから……」と泣けるセリフまで飛び出してきます。蔵馬はそんなこと言わない。
「飛影きて……」と発した彼女も現代では50歳近く。今でも飛影を待ち続けているのでしょうか。
以前、ガチオタAVという中々鋭い企画の作品を紹介しましたが、素人が使われている分、プロには出せない本物の気迫があります。
さて、元ネタの確認を経たところで、今回は本編での飛影が言わないようでギリギリ言う発言を見ていきましょう。
■飛影はそんなこと言わないようでギリギリ言うライン
・初期飛影
初登場飛影。後期とくらべると素朴な顔をしていますね。蔵馬はこの頃から既に完成されています。もう一人の剛鬼は分かりやすくかませキャラ。
悪役顔ながら美少年の飛影。「あの女を使って楽しめそうだな」と後期なら絶対に言わない凌辱役のようなセリフに注目。
悪役時代の飛影と言えば、この一連のセリフ。
オレがマヌケだと? バカ野郎がマヌケは貴様だ!! オレが何もしないで女を返すと思ったのか!? ボケがぁ!! その女の額を見てみろ! 面白いものがあるぞ! はははぁ! 確かに身体は返したぞ! だがその女の運命はオレの手の中にあるのだ!! ははは! 嬉しいか? その女はオレの部下の第一号にしてやるぞ その目が開ききればその女は完全に妖怪の仲間入りだ―― さぁ楽しくなってきたな! 今度は追いかけっこをしようか! この剣の柄の中に解毒剤が入っている!! 女を助けるにはそれを飲ませるしかないぞ! 欲しければオレから取ってみろ!! 100年かかっても無理だろうがな! 舐めるな! このスピードについてこれるか! どうだ!? 貴様にはオレの残像すら捕えることができまい!
よく読むと、最後にわざわざ攻略法である解毒剤を教えてくれたりと、間が抜けていてかわいい。それでも残像を発生させる程のスピードなど、人気がでそうな要素が後にも拾われているのは流石です。
この頃は「百目」という妖怪の原型があったので、あのクールな飛影も全身に瞳を散りばめた醜悪な姿に。当然、味方として人気が出た以降は披露しなくなりました。
悪役だった飛影の発言を参考にすると、「ククク……感じているようだな蔵馬……」くらいは言うのではないでしょうか。例のAVに出た女性の見解が知りたいところ。
同じジャンプ作品である地獄先生ぬ~べ~での「百々目鬼」。女子の全身に瞳を発生させる事で、自然な流れでえっちなシーンへと昇華させました。こちらの発想力も流石です。
水木しげる先生が描き起こした「百目」はマッドなデザイン。因みに百目は水木先生の創作妖怪である可能性が高い。くたびれたおっさんのような妖怪を元にして、美少年キャラの飛影を作り出す冨樫先生のキャラデザ力に脱帽。
・中期飛影
晴れて味方として再登場した飛影。「別に貴様らを助けたわけじゃない!! かんちがいするな」などテンプレのようなセリフに、世の女性ファンたちはもう虜。すっかり顔つきも少年になり、男子読者層も感情移入し易い人気キャラへ。
その後も「くくく おいおい 飛影お前はなにを考えている?」と独り言中に、蔵馬に背後を取られて普通にビックリしたりと、作中でもヒロイン以上にあざといキャラとなりました。
この後は一般的にイメージされる、クールながら少し間抜けな飛影で概ね正しく。途中、じゃんけんを知ったかぶりしたり、調子に乗って魂を取られたりしますが、基本的には常に冷静で残虐ながら味方のピンチには駆けつけるポジション。
中期の飛影なら、わりと間抜けな発言やあざとい子供のような発言も多々ある事がわかります。
終盤では、過程はどうであれ惚れた女性に粋な誕生日プレゼントを用意したりと、見た目の年齢相応にキザな一面も。
・アニメ飛影
アニメ版では原作だと省略された飛影対軀戦が描かれており、軀を女性として見た感情的な飛影の姿が確認できます。魔界で完全となった黒龍波が撃たれたりなど、原作ファン必見の回。
・その他飛影
少年漫画史にとって歴史的な一枚。18歳時点でなお尾田栄一郎先生の尋常ではない漫画力が確認できる上に、若かりし頃の冨樫先生のご尊顔も載っており、しまいには飛影があたかも漫画に対し一家言あるようなキャラに。
「見やすい絵は、何よりの魅力!! 見習うんだな…」と、漫画なんて一冊も読んだことなさそうな妖怪に言われても応募者も困るだけでしょう。人間界に馴染んでいる蔵馬ならともかく、飛影の呼ばれたから取り敢えずなんか言っとくか感は、飛影がギリギリ言いそうな事ラインを探る上で重要です。
■飛影がギリギリ言いそうなライン
これまで色々な飛影を見てきて、「凌辱役のようなセリフを吐く」「興味ないジャンルに知ったかぶりをする」「女性にも興味はある」などから考えると、
これくらいなら中期までの飛影なら可能性はあります。
妹要素を絡めることにより、更に現実的になったのではないでしょうか。
こうして纏めてみると、AVに出てくるような安いセリフくらいなら飛影でも全然言いそうな事がわかってきますね。「飛影はそんなこと言わない」という固定観念にとらわれず、もっと飛影でもこれくらいは言うという視点を持ってみても良いのではないでしょうか?
■オマケ