見出し画像

即死チートが最強すぎて、異世界のやつらがまるで相手にならないんですが。

 2024年春アニメもぼちぼちと始まりましたし、24年冬アニメで妙に好きになってしまった作品……『即死チートが最強すぎて、異世界のやつらがまるで相手にならないんですが。』です。

 もはやタイトル時点で完結しすぎていて、放送前から話題性が強かった作品。ネット上でも「ついになろう主人公も即死まできたか」と多くの人たちの賛否が議論されました。お約束として、そのような人たちの9割は本編を視聴しませんが。
 で。実際に視聴してみると、即死チートは正にその通りで、主人公が「死ね」と唱える(?)と本当に相手がバタバタと死んでいく。相手も相手でかなり強大な存在になっていくものの、主人公に「死ね」と言われた瞬間必ず死ぬ。諸行無常、盛者必衰なアニメである。
 「なんでも一撃ならストーリーとして楽しくない。俺ツエーで気持ち良くなるだけ?」とは、放送前に何度も言われ、先ほどの説明でもその通り。けれども即死チートはだからこその面白さを追求しており、いかに「死ねといったら絶対に殺せる」お約束を魅せるかに全振りされていて毎週毎週「そうきたか!」と「そうそう、これこれ!」が繰り返されて小気味良いのです。
 主人公が即死持ちならバジリスクだって同様なわけで、見せ場の肝は「いかに即死チートを防ぎつつ結局やられるか」。色んな状況から「いま相手を即死させたら厄介」な状況が作られていき、そのバリエーションにヒロインのユーモラスな反応が加わって水戸黄門的な味わいが生まれる。

 このアニメに妙な中毒性を味付けしてくれる名ヒロイン、壇ノ浦さんは前期で最も好きな萌え萌えキャラクターであった。
 壇ノ浦さんは喜怒哀楽が激しく、主人公のやれやれな態度や即死チートの能力へ一々オーバーなアクションを見せてくれる。ビュティのようなナイスツッコミっぷりを発揮し、壇ノ浦さんのコミカルな可愛さだけでもお釣りがくるほど。
 本作の真に特筆すべき点は、即死チート能力という思い切った設定よりも、「ヒロインを壇ノ浦さん一人に絞り、彼女の可愛さを余すことなく見せ続けた」ことではないでしょうか。
 一応、このアニメでも美少女キャラクターは複数登場するものの、それらは別キャラとのカップリングであったり、ゲスト的な扱いだったりが主。つねに主人公のそばでイチャイチャするのは壇ノ浦さんのみであり、なんとこういった作品では珍しくやれやれ系主人公も明確に壇ノ浦さんに惚れている。
 なので、なんかこう……即死チートは飛び道具としても、「ハチャメチャに強い主人公と振り回されつつ一途なヒロインの異世界冒険記」として観るとド直球で王道なんですね。ランスの暴れっぷりに呆れつつも結果シィルは優しく隣に居続けるような、「お前ら素直に付き合っちゃえよ!」みたいな原初のドギマギ感が癖になってなかなかなの中毒性に。

 同じ宿に泊まるせいで一晩中ドキドキするような、それでいて即死が来るまでタメにタメた戦闘シーンは「死ね」「本当に死んだー!?」のお約束が気持ち良く、また「足だけ殺す」ことで立てなくしたり、対象でなく概念を殺したりなど、即死の工夫にもじわじわ「やられた!」感がくる。
 あとは、サービスシーンがガッツリエロでなく、壇ノ浦さんがちょっぴり露出の多い装備をさせられるような少年漫画レベルなのも、あくまでギャグの中でのエロに留まり、それもまた昔ながらな雰囲気で好きだ。「この服なんか面積少ないんだけどー!」が良いんだよ。いいよね……。
 異世界転生モノらしくストレスの溜まる部分は一切なく、1クールに一本あって欲しい気楽に観れる箸休めとして僕の中での評価が非常に高い。数年後も壇ノ浦さんのハイテンションなドタバタを観たくてお気に入り回を視聴する予感がある。そういう程よさに刺さってしまった、即死チートなタイトルに反してじんわり好きになってしまう良いアニメでした。


サポートされるとうれしい。