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エロゲー延期黙示録
久々にエロゲーで期待していた作品があり、それはもう一日千秋の想いであと一カ月というところまで待っていたものの……延期をした。容赦なく発売が数ヶ月後になった。
まあ分かってはいたぜ。こんなもん。誤解を恐れずに言えばエロゲーなんて所詮はこれくらいテキトーなのだね。みんなが思い出の中「よかった部分」だけを取り出し続けてきたから、まるでキラキラしたオタクたちの青春に感じられるけれども、蓋を開けたら借金、罵詈雑言、延期、中止、スタッフ間争い……もう大変よ。歴戦のスタッフに会った時には、ぜんいん愚痴から入る。修羅なのだ。
実際に「発売するときの感覚」はさすがにわかる。カウントダウンとか、応募者プレゼントとか、スタッフたちの「やりきった〜」感溢れる投稿とか。公式サイトが少しずつ賑やかになっていく。彼らにしてみれば数年育てたヒロインたちだが、僕らにとってはまだ知らない女たちの4コマなりイラストなりが投下され始め、正直テンション差についていけないながらもやっぱりワクワクとするわけ。
が、今回はそれがない。
特になんの告知もないまま発売一ヶ月前を迎え、苦し紛れにサンプルボイスが少しだけ追加された。
わかる、わかるよ。
僕もニディガを発売一週間前に突然一年延期させた。わかる。なんかこう……奇跡が起きるんじゃないかって緩やかな抵抗のポーズだけはとる。彼らはサンプルボイスを小出しに、「もしかしたら、もしかしたら万が一何かがあるかもしれないのでギリギリ延期は宣言しません!」と、祈りに近い姿勢を醸し出す。まあ無理だったんだが。
気づけば公式サイトに掲載される、「さらなるクオリティアップのため〜」といったテンプレ文。
まあね。最近、ちゃんとしたゲームで遊びすぎてわかんなくなっていたけど、エロゲーとはこうなのだ。どうしても社会人の集まりじゃないんだ。規則とか締切とか、そういう細かいことに気を配って生きていけないやつらの集まりなんだ。その前提で成立している世界だから、延期は起きる時には起きる。起きる時には……というより、延期しない方が稀だ。
さらに数週間が経ち、せめて体験版くらい先に出ないか毎日、本当に毎日チェックしていた。メーカーの公式ページのお知らせ欄を眺めては閉じる日々。ついには後に発表されたゲームの告知が増え始め、だんだんとオーラが消え始める。
悲しい。いや、さすがにこの時代に中止はないだろうけれども……延期に伴って体験版を出すと告知したのに、それも音沙汰無いと心配になってしまう!
体験版は大きな指標だ。「少なくともリリースを目指す志はある」決意表明だから。頼むぜ……とチェックを繰り返すも一向に更新されない。
もしや……と思い、メーカーのお知らせ欄を無視してゲームそのもののページへ飛ぶ。いや、まさかと思いつつ、ゲームの製品紹介にさらっと体験版が追加されていた。
言えよ!!! 体験版できたなら、きちんとホームページ(死語)で告知しなさい!!! 他のゲームはやってんじゃん!!! なんでめでたいニュースを無視するの!!!
こんなもんだった。
こうだった。エロゲーメーカーの適当さってこうだよ。何かの間違いで歴史的に語り継がれる作品が世に産み落とされただけで、9割のエロゲーメーカーはこんなものなんだ。
どんなに熱意があろうとも、どんなに団結しようとも、どんなに声援に応える気概があろうとも、やっぱり社会人様ではないんだぜ。仄暗いサブカルチャーの奥の奥の住民さ。
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