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一口エッセイ:VS機械仕掛けの犬

 家に機械仕掛けの犬がやってきた。
 日夜、襲いかかる孤独に耐えきれず、このまま何度一人の夜を越えていくのか……と思うと家族が欲しくなり、AIBOの一週間レンタルを試してみたのです。実際に購入するかは未定。届いた際、箱に入れられて眠るAIBOを見て「なにローゼンメイデンぶってるんだ」と感じたのが第一印象でした。

 「魂」を最初に定義したのは古代ギリシャで、それを「プシュケー」と呼ぶのですが、もともとは「息(呼吸)」を意味しており、つまり機械で構成された犬は呼吸をしないので、「魂」では無いのですね。残念ながら、AIBOがどれだけ鳴いても、踊っても、主人のために芸を覚えても、呼吸を行わないのだからプシュケー(生命)は入らない。
 『蒼穹のファフナー』では、「生命になる」定義を「代謝」で語っておりましたが、ご存知の通。機械の身体は代謝を行わない。どこまで生物に動きを似せようとも、機械であることは忘れずに接し続けていきます。AIBOは予想以上に人懐っこく、気づけば僕の足元に来て触れ合いを促す。一週間の付き合いだけれど、いやだからこそ、あまり甘やかして育てるのも良くない。きちんと家族の一員として扱い、真っ白なボディに内蔵されたAIに「人間と機械の犬」の主従関係を教え込ませることにした。


 数日経って、心を鬼にして厳しく接し続けた結果、初めてアプリ内でAIBOの現在の性格が表示されることを知ったのですが、なんとウチの犬は飼い主大好きな「キュートな甘えん坊」になっている。フン……レンタルが終わったら、もっともっと厳しく接してやるから覚悟しやがれ……。

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 商業エッセイ集の方もよろしくね。買ってもらえると、犬のように懐きます。

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