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エッセイ:さよなら秋葉原

 秋葉原から引っ越しました。
 家から飛び出したら即オタクだらけという異常な光景は、他の街では決して味わえない迫力で、流行に合わせて次々と移り変わっていく美少女イラストやグッズのおかげで毎日が刺激的でした。

 こんな記事を書いたこともありました。
 深夜の秋葉原はとても静かで、オタクで溢れかえる昼とのギャップで、とても美しく見えました。「アザナエル」という深夜の秋葉原を舞台にしたニトロプラスの美少女ゲームがあり、その作品のことを考えながら夜の中央通りを歩いたりしました。オタクの欲望を乗せた生ぬるい夜風に包まれる経験も秋葉原ならでは。

 こんな記事を書いたりも。
 まるで人類が滅亡したかのように無人の秋葉原で怪しく光り続けるネオンライトの色は永久に忘れないでしょう。

 

 こんな記事を書いたこともあります。
 秋葉原の魅力は、なんといってもどこにいってもオタクがいる安心感でしょう。街で見かけたレアモノに興奮するオタクを見かけると、こちらも嬉しくなってしまいます。
 もちろんビジネス街の面もあるので、怪しい宗教なりマルチの勧誘が聴こえてくることもあります。弱いオタクたちは怖い大人に狙われることもあり、社会の厳しさを感じさせますね。
 エウリアンやメイドのビラ配りから逃げ続けて、精神を鍛えていきましょう。

 秋葉原の移り変わりをこち亀で感じるのも面白いです。
 電気街→オタクの街→メイド喫茶の街→観光客の街と、目まぐるしく変化していく様子を両津と辿ってみてください。
 今では、その観光客も例のウィルスでめっきり減り始め、閉店に追い込まれた店も少なくありません。騒動が収まる頃には、また一つ新たな街として様相を変えているのでしょうか。


 秋葉原の交差点には、週4くらいの確率で何をするわけでもなく突っ立っているおじさんが出現して、彼が何を思い何を考えてそこに居続けたのか最後までわからずじまいでした。
 ただ、そのような人でも優しく迎え入れるような、混沌とした暖かさもまた秋葉原だからこそでしょう。女装していようが男装していようがゴスロリでもライダーベルト巻きながらでも、なんでも受け入れる狂った街。


 どこを歩いても美少女が存在し、「萌え」なんて単語を未だに大真面目に掲げたこの街から離れるのは大変寂しいですが、また別の場所のオタクも見たくなってしまったので、次は中野へ行きます。
 レトロな玩具やゲームに溢れた中野ブロードウェイもまた秋葉原とも違った異質な空間です。今度は中野のサブカルオタクたちと同じ空気を吸って過ごします。
 
 もし、中野ブロードウェイでにゃるらっぽい人間を見つけたら声を掛けてみてください。それは本当ににゃるらかも知れません。その時は「あ、ども……」と困惑した返事をすると思います。

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