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学校行きたくない

 ここのところ生活リズムが狂って朝6〜8時にも起きている。こんな正しい時間にカーテンの隙間から差し込む日光を眺めていると、どうしようもなく「学校へ行きたくない」という少年期の不安に襲われる。
 実際に中学校へ行かなくなった頃、見兼ねた教師は通学路が同じ同級生へ僕を迎えに行かせる作戦に出た。
 朝8時。近所の同級生が僕を起こしにくる。早くしないと遅刻となる時間帯。
 相手が「善意の同級生」であることが絶妙で、無視しても断っても罪悪感が残る。これが教師であれば「給料もらっている社会人のポーズだし」と遠慮なくシカトができる。そもそも勉強への意欲が一ミリもなく将来へ希望も抱いていない以上、通っても無意味だし。根本の問題が解決していないのにとりあえず登校する必要性を感じない。内心でさまざまな言い訳が立つ。
 が、優しい同級生は、そのような細かな事情を貫通してくる。ただただ「いっしょに学校行こうよ。(登校時に)困ったことがあれば力になるよ」と、同じ教室の仲間へ手を差し伸べているのです。となると、後は僕が朝と登校を面倒くさがらずに「同級生の気遣いに報いるか無碍にするか」でしか無くなる。それを思うと「目の前の人を困らせないために」外へ出ざるを得ない。
 おかげで、迎えに来てくれた際は50%くらいはドアを開いた。どうしても無理な時に居留守を行うこともまあまああった。申し訳ない。なんにせよ、善意の同級生がチャイムを鳴らす音が恐ろしく、(その子のことはともかく)朝7〜8時という時間帯が憂鬱となる。別に迎えに来なかったとて、この時間になると外は活気に溢れ、世界に置き去りにされている感覚、自分がそこに居ない不安と罪悪感に覆われるのに。
 とはいえ、今は本当に学校も通勤もないのだから昼まで眠っていればいいのに、それも簡単には行かない。僕の精神状態と環境では満足に眠ることも難しく、中学から続く昼夜逆転は、もはや死ぬまで改善されないのではないか。恐らくは、実際に身体の芯から夜型なのでしょう。
 登校や通勤でなくとも、最近は早い時間の打ち合わせも少なくない。収録や周囲の都合と合わせると昼13時前に起きる。「起きたら寝不足でも外へ出なければならない」といった状況は、時間帯こそ違えど深夜〜早朝に感じる学校への恐怖と同義である。そういった事情と締め切りから、ここ2ヶ月くらいは、ぐっすり寝た記憶がない。どうにか誤魔化し誤魔化し進んできたものの、先週あたりから無理が出てきた。とにかく身体が薬と睡眠を欲している。薬があれば睡眠時間が伸びるのだから、同じ目的を指している。
 今もまた「学校行きたくないなぁ」の気持ちでいっぱいだ。夢も教室の中なことが増えた。死ぬまでか。死ぬまで僕は朝と相入れず憂鬱が続くのか。それはとても悲しい。

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