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選り抜き一口エッセイ:ご存知でしたか。わたしがずっと、あなたを軽蔑してたってことを

 少女革命ウテナ36話で、アンシーが「ウテナさま、ご存知でしたか。わたしがずっと、あなたを軽蔑してたってことを」と言い放つシーンのことを考えます。そうなのです。僕はそれがずっと怖くて、どんなに友達となにか楽しもうとも、急に「ご存知でしたか。ずっと、あなたを軽蔑してたってことを」と言われないか不安で仕方ない。
 自分を王子様だと思い込んで振る舞う王子様ごっこのような、客観的に見るとたいへん滑稽なことを自分がしているのではないか。誰か心の底から親友と呼べる存在はいるか。彼らから明確に好かれている自信はあるか?
 僕はつねに根本がズレているので、明らかに見えている世界の解像度が著しく低いので、無自覚な間違いを何度も繰り返している。子供の頃から「歩き方が変だ」と周囲から笑われて育ちました。どう変なのか今だにわかっておりません。
 歩き方のレベルで変なのだから、コミュニケーションなんて複雑な行為がすべてとんちんかんで、僕だけ気づいてなくても、なんら不思議ではないのです。怖いですね。
 それでも、軽蔑の形で根底から関係が覆されようとも、ウテナはアンシーを信じるのだから、世界を革命するために戦うのだから、とても強いなと思います。僕も自閉症という卵の殻を破り、人と真実の対話をできる時がくるのでしょうか?
 卵の殻を破らねば、雛鳥は生まれずに死んでいく。我らが雛で、卵は世界だ。世界の殻を破らねば、我らは生まれずに死んでいく。世界の殻を破壊せよ。世界を革命するために。

 ※Twitterに連載していたエッセイからの抜粋です。↑で購入できますので、エッセイ集をぜひ読んでみてね。

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