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13時間のフライトと飛行機で観ると良い映画

 帰国してからも打ち合わせがあったり、耐えきれずに久々の中野ブロードウェイを回っていたらファンに見つかったので一緒に写真を撮ったりした。海外での疲れもどっと押し寄せめちゃくちゃに眠って今(夕方)に至る。さっそく昼夜逆転になっちゃった。
 もう少しオランダ・ドイツの話を書きたかったけれど、夕方はネットに人が多くて怠いので飛行機の話をしましょう。


 上空から見たドイツの景色。ミニチュアのようで眺めているだけで心踊る。それにしても坂道がなく平坦な道だらけで羨ましい。なのでドイツもオランダも街中は自転車だらけ。そこら中に日本で言うループ(電動キックボード)が設置されています。東京は道がガタガタで坂だらけなので移動のし易さは羨ましいね。

 さて、ヨーロッパ旅行に置いて最もたいへんなことは「フライト時間」に他ならない。なんと日本からオランダへは13時間以上かかる! 往復26時間。旅行の一日分をそのまま機内で過ごしていることとなる! ロシアを迂回さねばならない今は余計に長いのだ。戦争やめろ!


 地上が見えてくると、この通り整備された画一化された四角さがシムシティのようで楽しめるんですけどね。いかんせんフライト中の8割は窓を閉めている(みんな眠るから)ので、そういった面白さは無い。
 13時間。そりゃ眠ればすぐだ。むしろいつも以上に睡眠時間が増えて助かる。到着したら元気いっぱい遊びまわるぞ! と気楽に考えるでしょう。それは国内かアジア行きの2.3時間の場合だけだ。こんなにガタガタ揺れる狭い空間で、というか座っている姿勢で人は満足に眠れない。
 どうにか一瞬の睡眠に成功したと思ったら、なんらかのアナウンスや振動、食事時間などで起こされる。そうでなくとも姿勢のつらさで起きる。ちょっとは眠れたかな? と目を開くと一時間も経っていないことに絶望する。しょうがないので備え付けのモニターで映画を観る。映画かゲームへ集中することだけが正解である。
 できれば映画は快適な状態で鑑賞したい。飛行機のモニターは狭く、音質もジャカジャカなイヤホン、そのうえで揺れまくる。なにもかもがノイズとなって、「これは逆映画館だな」と思った。画面、音響、座り心地のすべてが映画館の真逆なのだ。
 とはいえ映画は面白い。僕が往復で観た映画は3本。『テネット』『ゼロ・グラビティ』『クルエラ』。あとKindleで『Thisコミュニケーション』を読んだ。どれも素晴らしい作品です。


 相性はある。テネット、これは時間が複雑に入り組んでいく作品なので、大きな時差によって体内時計がぐにゃぐにゃになる海外旅行と不思議なシンクロがなくも無い。世界観の時間軸の変化と現実の日本・オランダ間の上空という時間の歪みを意識すると意識がふわっとして心地よい。

 『ゼロ・グラビティ』は凄かった。上映時間の9割が宇宙空間で構成されており、事故によって無重力空間、つまりは宇宙を彷徨う、現実に起こりうる圧迫感のホラー。言うまでもなく映画として迫力ある作品。これが飛行機との相性は抜群! 劇中での無重力と機内の浮力がベストマッチ。登場人物たちが宇宙で揺れるたび飛行機も揺れる。物語への没入感が異様に高まり、まるで自分も宇宙の旅をサバイブした気すらして思わず記念写真を撮った。

 なんだか大変な偉業を成し遂げた達成感がある。実際は椅子に1時間半座っていただけ。
 反面、『クルエラ』は非常に内容に満足したものの、特段飛行機で観る必要はなく、映画館か家で観れたらもっと良かったが……と感じてしまった。こんなの個人の主観でしかないが、みなさんの長旅におけるなんらかの参考にしてください。


 観終わってじっとしていると、隣で『ダンジョン飯』を観ているオランダ人がポッキーを分けてくれた。なぜか30分おきくらいに一本ずつ渡してきた。海外の緩すぎるコミュニケーションは妙に癖になる。
 

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