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一口エッセイ:好きなYMOの曲

 YMOの高橋幸宏さんが、この世を去りました。自分の印象として「YMOの3人で最も優しそうな人」と認識しており、あまりに尖りまくっていた当時の細野晴臣と坂本龍一の間で、高橋さんは二人の仲を取り持つ役であったらしい。その上で、YMOの代表曲となった『RYDEEN』の作曲が高橋幸宏さんであることが、すごくカッコいいと思う。


 画像は、YMO40周年写真集の中で、特に好きな高橋幸宏さん。ただ座っているだけでも絵になる男。カッコいいぜ。数年前、細野晴臣さんの自伝映画を鑑賞した際、「細野晴臣のライブ中にサプライズで参戦する坂本龍一」の映像を見て、いつかこれくらいのノリで3人が再びステージに揃い、その瞬間を自分は観客として見ることができると思い込んでいました。その夢がもう叶わぬことが無念でなりません。
 さて、関係者でもなければリアルタイムのファンでもない僕が、これ以上個人に触れることも特にないので、今回は「好きなYMO」の曲を5つほど並べることで、自身の感情を納得させます。
 アルバムが被らないように、あくまで今の気分で5つ選んだ前提で。好きな曲、まだまだ無限にありますから……。 

・RYDEEN
 YMOの代表曲であり、高橋幸宏さんの代表曲でもある、言わずと知れた名曲。
 原曲の正しくテクノな感じが気持ちよく、以降のゲーム音楽の源流となっているのだなぁとわかります。細野さんは「これはアニメだ!」と感じたらしく、もしかしたらアニソンへもRYDEENの血は受け継がれているかもしれません。

 代表曲ゆえ、多数のアレンジが存在しますが、最後の公演となった2012年版のRYDEENが好きです。イントロでのタメがラスボス感あるんですよ。でも、やっぱり電子っぽさ全開な原曲が最も完成されていると思いますけどね。


・邂逅
 YMOの新たな可能性として、アイドル売りでボーカル強めな時代のアルバム収録。作曲は坂本龍一で、テクノ歌謡なる特異なジャンルとなっていますが、高橋幸宏による優しい歌声のおかげでなんとも心地良い一曲に仕上がっています。正確無比なドラマーのみでなく、ボーカリストとしての高橋幸宏の安心感が伝わる好きな曲ですね。


・DOLPHINCITY
 ブームが過ぎ去た頃を見計らって再結成し、かなり挑戦的な方向で打ち出したアルバム『テクノドン』収録曲。すでに3人が別々の方向で活躍していた後でのアルバムなので、特に癖が強く、その中でもさらに癖のある一曲。細野晴臣作曲で、自身が入手したイルカとの対話音声をサンプリングされています。
 「イルカとの対話なる、不思議なテーマだからこその聴き心地を、ぜひ体験してもらいたい。


・中国女
 ファーストアルバムでの高橋幸宏さんの代表曲。今だとチップチューンにあたる音で進行していく、フランスやイタリアなどのポップスをパロディしてごちゃ混ぜにしたような、それでいて初期YMOらしい遊び心に溢れた名曲。東風と合わせて、YMOの世界観を強く印象づけている。


・PERSPECTIVE
 好き。めちゃくちゃ好き。精神の安定剤という観点では、YMOで最も素晴らしいと感じます。坂本龍一作曲で、イントロから流れる儚げなピアノの旋律が美しい。訳すると「わたしは毎日テレビを観ます」「わたしは毎日歯を磨きます」と生活的な行動を淡々と並べているだけなのに、なぜこんなに心に響くのか。高橋幸宏さんも「好きな坂本龍一の曲」として、このPERSPECTIVEを、挙げていました。もしライブで聴いていたら、涙が止まらなくなっていたでしょう


 

 
 

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