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ニディガ展2(ツー)開催

 ニディガ展2(ツー)が無事に開催されました。朝から展示準備→夜に2周年記念生放送→開催(11時ギリギリ)まで徹夜で準備という殺人スケジュールのせいで、帰宅後の土曜13時〜日曜の現在(14時)までめちゃくちゃに寝ていた。もちろん途中でちょいちょい起きはしたけれど、身体の底から本能が休息を望むSOSを発した。ウルトラマンブレーザーの最終回をリアタイできなかったことだけが悔やまれる。


 それはともかく命削っただけはある展示となり大満足です。等身大超てんちゃん、等身大あめちゃんはもちろん、物販コーナーから通路まで、「まほうのきってで超てんちゃんとあめちゃんの内面へ飛び込み、融けていく」というコンセプトはできる限り再現した。凝れば凝るだけキリがなく、開場時間直前までの調整としては最上だ。今回、光の当たり方やビジュアルデザインで大きく手伝って頂いたしおんさん含め、時間制限さえなければ僕らは延々と微調整を繰り返し続けていたでしょう。線引きは大事。

 許されるなら、実は僕は完成された部屋よりも、あえて製作途中の未完成な状態で展示したかったくらいだ。放置されたような空っぽの筐体と上半身を失くした超てんちゃん、ライトの関係で仄暗い色味の部屋は、本来僕が最も心躍る光景であった。流石にダメだが……。製作中の深夜に、「UFOキャッチャーの上に乗る」という稀有な体験ができたのはたいへん嬉しかった。筐体の上から俯瞰する散らばったゲーセンのカケラは、非現実的な画面で良いモノであった。

 本来、IPモノの展示会の場合、既存のイラストやちょっとしたフォトスポットとグッズで行うものであり、今回も初めはそのイメージで持ちかけられた、が、それだけではインディーらしくない、せっかく広いスペースが使えるのだから世界観そのものを体現したいと、等身大あめちゃん、遊園地のゴンドラ、UFOキャッチャーなどの各種筐体、大量のブラウン管テレビなどをかき集めてきた。それができるのは原作者と作品・企画が密接なインディー規模であるからであり、どうせならニディガ展2(ツー)に来てくれた子たちが、メジャー規模の展示会で満足できないような刺激的な思い出にしたかったのです。
 それも建前かもしれないな。要するに僕が見たかったのだ、等身大超てんちゃん・あめちゃんがあることで、非日常的な、夢の途中にいる幻覚のような光景が。


 製作終盤、疲れ果てて横になった曖昧な視界で見えた光景が最も素晴らしかった。残念ながら通常の日常では、でっかいピンクのお城もメルヘンなゴンドラも、何より黒髪で片目を隠した不思議な女の子も存在しない。一瞬でも現実を忘れて幻影を錯覚できただけでも価値ある時間だった。
 空間を用意したのだから、それをどう切り取るかはあなたたちの感性によるものだ。喜ばしいことに現代ではスマホのカメラで簡単に視界を切り取れる。お客さんの撮った画像で、例えばゴンドラの隙間から覗くあめちゃんの写真などもあり、その豊かな発想に感心させられた。今回はチケットかつ時間制で混むこともないのだから、好きなように移動して色んな場所で風景の、自分の写真を撮って欲しい。一人でもスタッフの方に言えば撮ってもらえる。あれだけ長く居た僕も最終的には、疲労で横になってようやく理想のアングルを見つけたのだ。期間中、何千人と来るのだから各々が最も感性に触れた一瞬が見られることを何より楽しみとしております。

 という僕の思いなぞつゆ知らず、版元の公式アカウントは「映えるスポットがたくさんあるのでいっぱい写真を撮っていっぱいグッズを買ってね」と宣伝する。なにが「映えるスポット」だ。僕たちが身を粉にしてライト一つから調整した空間は、映える映えないの尺度とは関係がない。何より、どう写真に収まるか、敢えて寂しく、敢えて賑やかに撮るかは客の勝手であろう。このように油断すると大人たちは人の感情をたいへん雑に利用するので、やはりできる限り自分の手の届く範囲で内容を決められる作品で良かった。なにが「映えるスポット」だ、馬鹿タレが。カス。

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