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一口エッセイ:保険証の無い生活と暖房

 この前、編者さんに「初めて会った時は、にゃるらさん保険証持ってなかったですよね。保険証持ってない人もいるんだって衝撃でしたよ」と言われて懐かしくなりました。
 そう、僕は数年前まで借金塗れだったので国民保険に加入するタイミングすら無かった。月々数千円払う余裕もないので、だったら怪我も病気も気にせず自力で生きることを選択したのですね。当時はそんなもんだと認識していましたが、今思えばえらいことだ。
 保険証がないばかりかボロアパートにはエアコンもなかったので、夏場は暑くて地獄。部屋の温度上昇とともに視界に虫がたくさん発生していくものの、労働の恐怖に比べたらマシだと家賃滞納してひたすら眠り続けた。冬は好きだった。虫は勝手にいなくなるし、厚着さえすればエアコンなんて必要なかったから。そのときの名残で、エアコンが自室にある今も暖房はほとんど使わない。生暖かい風は「不自然」なので身体が拒否するようになったのです。
 そんな環境なのだから、体調を崩したら終わりだなと思いつつ、わりとどうにかなってきた。睡眠薬は海外から輸入できたしね。頑張ったなぁと思いつつ、よくよく考えたら努力してないから貧乏暮らしだったのである。しかし、病院という施設はすごい。みんな優しい。僕のような胡乱な患者にも丁寧に接する。歯医者や米青ネ申禾斗の人たちと暖かいコミュニケーションを交わすたびに、この国の福祉はすごいなぁと感動する。
 それはともかく、今朝はあまりに寒すぎて布団から飛び起きたあと、身体を暖めるため飛び跳ねていたら勢いあまって壁に膝蹴りした。見事なまでの跳び膝蹴り。格ゲーなら「→↓↘︎+K」と入力するだろうなと確信があるくらいの跳び膝。今だに足が痛くてベッドに寝転んでおりますが、別に普段もベッドで寝転んで本読むかアニメ観ているかなので、足が痛んでもビックリするくらい何も変わらなかった。ちなみに明日も何もないので、痛みが継続しても特に問題はない。ある意味では悲しいことですが……。
 こんな思いをするくらいなら、素直に暖房が点けられるようになればなぁと思いつつも、寒い部屋にぽつんと孤独に耐える生活こそ、保険証のなかった自分が築き上げてきた生き様なんじゃないかと、無意味に誇りを感じてしまっているのです。それにしても寒い!


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