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超獣デザイン アリブンタ

 怪獣ソフビ集めに歯止めが効かなくなってきたので、とりあえず本屋で見つけたウルトラ怪獣の立体物図鑑で我慢している。

 エクスプラスは、初期のウルトラ怪獣たちをできるかぎり忠実に再現してコンプリートしようとしてくれているメーカーですね。デフォルメや大胆なカラーが特徴のソフビの本流とはまた違うものの、ウルトラ怪獣の造形を見ているだけで幸せなので最近はぼおっと眺めています。
 さて、僕は超獣が大好きだ。
 もちろん初代マンの怪獣、セブンの宇宙人たちも大好きなうえで、あまりにサイケデリックでグロテスク方面に振りきって子供たちを困惑させた超獣たちのデザインを愛している。
 だから、こうしてたまに超獣たちの話をするのを止められないのだ。順を追って話しましょう。


 ウルトラQ〜初代ウルトラマン。
 こちらはウルトラマン中盤あたりの怪獣たちですね。


 左下の麒麟のようなフォルムのドドンゴ。伝説上の生物をモチーフに怪獣としてアレンジして登場させるワクワク感。堪らない。右のガボラ。彼はシン・ウルトラマンでも印象的でしたね。恐竜的なフォルムに一工夫加えてSFチックな風味を醸し出す、初期ウルトラ怪獣らしいシンプルな良さに溢れる。
 左上のユーモラスな見た目のギャンゴ。こいつは一目で「現実の生物として存在しない」アニメチックなワクワクがある。ストーリーも好き。生物の延長としての怪獣、そのパターンをいかに工夫するか、または外すか、初代の怪獣たちはどれも製作陣の苦労と美学に溢れてまったく飽きさせない。

 その後、セブンでデザインの美術センスは爆発し、エレキング、メトロン星人、キングジョー、皆が見たことある名怪獣、宇宙人たちが完成。代わりに途中で予算不足による失速は否めなく、これまで支えてきたデザイナーの成田亨も抜け、怪獣のデザインは混迷とする。元からギリギリの綱渡りであったが。特に戦車に恐竜を載せただけの『恐竜戦車』などは、僕らのようなマニア受け抜群とはいえ、美学を持ったデザイナーには円谷への見切りを確信させるほどであった。
 そして『帰ってきたウルトラマン』では、なんだか妙に恐竜っぽいやつらが増え始める。それはそれで魅力ある面々となったうえで、次の『ウルトラマンA』。ここで超獣の時代がやってくる。

 1話に登場するベロクロン。文句なしに最高のデザイン。何より肝心な第一話を任されるに足る原点にして頂点のような超獣。初代路線からまったく外れ、かなり独自の奇抜さを得て、なんだか凄いものが出てきた。続く3話のバキシムもまたカッコいいんだ。
 で。こいつら超獣を操るのはヤプール人。家畜人ヤプーが由来。なんで? この時点で迷走が著しく、回を重ねるたび超獣はグロテスクへ。


 5話、アリブンタにギロン人。キモい!
 もちろん僕らはこの不快感さこそ恐怖であり、これが大好きで超獣を愛しているものの、5話でギアを上げすぎだ。毒々しい色使いにキショいブツブツ。長く続けた弊害で「怪獣とは何か」を見失った末に生まれた何かである。エースには以降もこのようなデザインがどんどん現れるが、1話から観ていた僕はまず5話アリブンタのデザインでひっくり返った。なんだコイツ!?
 次作のタロウからは超獣の反省か、わかりやすくユーモラスなデザインだらけとなる。まあそれはそれで「子供騙し」と大人にそっぽ向かれたりするのだが。怪獣道は複雑怪奇なのだ。

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