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一口エッセイ:自分の完全上位互換を想像する

 他人とコミュニケーションしている際、「この人は完全に僕の上位互換が現れたらどうするだろうか?」と急に不安になってしまう。学力、ユーモア、体力、知識、創作、スタイル……色んなステータスがありますが、あまりにしょうもない細かい点を除いて、全てのスペックが自分より上の存在が出てくる可能性というのは、無いわけでは無い。
 「全部」は条件が多すぎて現実味がなくとも、自分の長所を上回るパーフェクトな相手はじゅうぶんあり得る。例えば、週刊誌であれば同じジャンルの漫画が連載された際、やっぱり人気のないほうが打ち切られて、どうしても下位互換のように見えてしまう筈。そういうことって、わりと世の中にあるんじゃないか。
 友達であれば、単に友情の幅が広がっただけで問題は起きないかもですが、それが恋愛だったたとしたら、自分より全て上の人間が恋人にアタックしていた場合、真に恋人の幸せを願うのならば潔く負けを認めて、自分の上位互換さんを尻目に退場しなければならない。もしくは、急成長するか。しかし、人が急に成長することなんて殆どない。実力を得るため行われるのは、もっと地道な努力なのだから。残酷だね。
 そういうことを想像すると、とても怖くなって身動きが取れなくなる。「僕を見捨てないでね」と正直さだけを武器に縋る愚かな自分。そうはなりたくないけれど、なるのでしょうね。

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