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夢から醒まさないで

まほうのきっての向こうには
ダークでメルヘンな遊園地
とろけるような夢のなかで
子供みたいに遊ぼうね †昇天†

 来月、拙作ニディガの2周年に併せて秋葉原の大きなフロアで『ニディガ展2(ツー)』を開催します。ちなみに、2周年の企画はもっともっとあります。入院前も以後も、なんなら入院中ですら血反吐を吐きながら(術後なので比喩でなく本当に吐いている)日々準備をしております。
 それらは順次明かされるとして、今回の展示会はとても気合いを、いや「夢」を詰め込んでいる。ぜひ、皆さんにも足を運んでもらいたい。


 できれば現実なんて忘れてずっと夢を見ていたいでしょう。生きているより眠っていたいでしょう。でも、そんなことは不可能なのだから、ならば現実に夢のような空間を創りたい。せめて展示会の中に居る間だけは、ピンクと水色が織りなす幻覚に包まれて甘い毒の刺激に酔いしれていればいい。
 今までのようなフォトスポットと新作グッズでなく、ニディガという世界観を浴びる体験と想い出を感じて欲しい。そのためには大掛かりなことをしなければならない。遊園地に訪れたような非日常のドキドキを築きあげる。
 僕が住んでいた沖縄に遊園地は存在せず、母親と二人きりであったため行く機会もなかった。初めて遊園地をこの目で見たのは成人以降のことである。代わりに、子どもの頃はゲームセンターへ足繁く通った。仄暗い室内にエレメカやアーケードゲームたちのネオンライトがビカビカと光る光景が、日常を飛び越えた「夢」の証であった。
 夢なのだから、幻覚なのだから、不安定なこともある。バッドトリップだ。幻想世界なんてつねに悪夢と隣り合わせで、一歩間違えれば天国と地獄。月のように宙に浮いていた意識は一気に地の底へと沈む。そのリスクとリターンの境目が数秒ごとにぐにゃぐにゃになるランダム性、不安定さ、それこそ「長い夢」としか形容しがたい世界を体現させよう。


 遊園地、ゲームセンター、夢、幻覚。思い浮かんだキーワードたちを繋ぎ合わせて『まほうのきって』へ込める。来場者たちはどこへでも飛べる切手を貼り、超てんちゃんとあめちゃんの精神世界へ感覚を共有してドロドロに融けていくのだ。インターネット・エンジェルなる強烈な他者との境界が曖昧になる感覚が恐ろしく、そして心地よくもある興奮を味わって頂く。

 今回の世界観イラストでの協力は、以前から交流のあったしおんさんへお願いした。何度も打ち合わせ、街を回り、照明や小物などを擦り合わせていく。そうして完成された絵はたいへん気に入っている。しおんさんで良かった。画面上でもリアルでも照明の向き、細かいライティングや光の色味まで拘ってもらえたことで、イラスト時点で「妖しくも惹かれてしまう悪夢」が垣間見える。ゆくゆく解禁される超てんちゃんも上記と別の趣向で機械仕掛けに彩られているので乞うご期待。
 今回は入場料も1500円頂戴するし、チケット予約制となっております。すでに初日は埋まり始めているので急げ!前回の行列改善のため事前チケット制は最善の一手であり、入場料のおかげで通常の展示ではまず設置できない立体物や仕掛けを多数用意できた。「入場にお金を取る」攻めた選択は、僕らの一般的な展示で留まらない気概と意欲、なにより芸術的感性の発露と受け取ってもらいたい。それは中身で判断してもらう他ない。具体的には等身大あめちゃんも居る。後に写真を解禁しますが、とても顔が良い。今回は超てんちゃん以上に彼女が主役であると考えている。
 一応こんな日記まで読む変わり者のために、今回の企画に懸けた僕のコンセプトを綴ったものの、これはただの自己満足であり、皆さんはぐだぐたとした駄文なぞ一文字も頭に入れなくてよい。ただ、思いきり日常では味わえない幻覚を、夢を視ていてもらいたい。夢に説明は不粋でしょう。だから読んでしまったことは当日まで忘れていなさい。それこそ今回の日記は奇妙な夢の切れ端だと思って、朝には忘れていればいい。
 僕は夢から醒めたくないから、子供の頃に行けなかった分も遊園地で遊んでいたいから、きっとまだここに居てしまうけれど。

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