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自分へのクリスマスプレゼント 怪獣ソフビ黒の章

 だんだんと予後が良くなってきたとは言え、外に出かけてみると一気に体力を奪われてダウンしてしまった。それでもいかねばならないイベントがあったのです。
 それが激レアなウルトラ怪獣ソフビが販売される、まんだらけ中野ブロードウェイ店での抽選会です!!!


 開店前(11時半)頃から並び、くじを引いて番号順に整列する。約130人もの特撮オタクが集まる中、僕は60番。真ん中ちょい前である。こうしてオタクたちが数字順にショーケースの前へ連行され、じっくり「一体だけ」選んだ後に購入する。なんともオタクらしいわくわくするイベントでないか。これには鼻と喉を貫通させた術後の病人でも参加せざるを得ない。どうせ今年も誰からも祝われない自分への唯一のクリスマスプレゼントだ。


 で。ショーケース自体は今月頭くらいから展示されており、抽選会の日までは購入できず、ガラスの向こうのトランペットを眺める少年のようにソフビたちへ張り付き、「いつか大人になったら僕が買ってやるんだ!」と希望に胸を膨らませていたのである。もちろん、僕はあるウルトラ怪獣の一体を狙っており、そのソフビは今回の抽選会でないとなかなかお目にかかれない。当時らしい表現を使うなら「女房を質に入れてでも買いに行かねば!」といった気持ち。
 たとえば、先ほど貼ったスペル星人やハヌマーンなど、通常のお店ではほとんど見ることのできない、居たとして1.2体のレアソフビが大集結なのだ。このショーケースを眺めているだけで眼福である。
 ……ここで、僕の気持ちは二つに割れていた。

 「純粋にデザインが好きなウルトラ怪獣ソフビ」を取るか、「スペル星人やハヌマーンなどのさらにレアなマニアックソフビ」選ぶか。
 そう、ウルトラセブンの放送禁止になった会に登場する『スペル星人』は、被曝がモチーフだけにグロテスクかつ不気味であり、ソフビ映えが良い。グロとソフビは非常に相性が良く、怪獣ソフビ界は9割ヘドラなんじゃないかくらいの勢いでヘドラが占めている。今回はヘドラ以上にマイナーなスペル星人が、多種多様なカラーで登場。さながらスーパー戦隊かのように5人も横ならびに。もうテレビに映ることは無いくせに、だ。
 そうなるとめちゃくちゃ欲しくなってくる。タイ(チャイヨー)と円谷の微妙な歴史を証明する『ハヌマーン』も、マニアは所有しておきたいありがたさを放つ。実際、ご利益ありそうだし。以前、中野でダーク・ウルトラマンを見かけた時は絶対に買っておくべきだった。非常に後悔しており、できればハヌマーンも逃したくない。
 ……が、それは「レア度」がオタク心を刺激してあるのであり、言わば飛影が「黒の章を欲しがってました」と蔵馬に括弧書きで補足されるようなものなのだ。たしかに欲しいのであるが、それは所詮雑談レベルで、禁じられたレアモノたちを見てみたい・所有したい欲でしかない。実際、飛影だって「黒の章で人間たちの業を眺めてみて〜」くらいの気持ちで欲しがっていただろう。その好奇心自体も重要であるけれど。
 で。自分の番が回り、悩んだ。まだスペル星人らも残っている。特撮の歴史の闇に潜むこいつらは黒の章そのもの。喉から手が出るほど欲しい!



 が!子供の頃からデザインが大好きな『きちがいロボット クレージーゴン』を購入。せっかくなのでセブンを圧倒した機械たちとの集合写真。かわいい。この剽軽なデザインから想像できないほど強い。「狂った機械」に対してセブンもたじたじ。こいつが街の車を食べていくカットが大好きで、ソフビは絶対に家に置いておきたかった!
 うーん、良いですな。イベント後、特撮オタクのおっさんたちが意気投合して初対面で飲みに行っていた。ああいう場で生まれるマニアックな友情。そういう老後もある。楽しみです。お出かけの代わりに体調は死ぬほど崩れて今まで寝ていたが、これからもソフビ集めを楽しみに生きていく。スペル星人もハヌマーンも待ってろよ。

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