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冷たい脳味噌

 外出する気力がないので打ち合わせに自宅まで来てもらった。インターホンの電源を入れ、チャイムの音で起きる。
 これを書き終えたら再び眠るつもりですが、今回は久々にギリギリであった。とてつもない頭が痛く、さすがに薬がないとどうにもならないと部屋内を探して睡眠薬や向精神薬の残りを見つける。弱った精神に(だるくて米青ネ申禾斗に通えなくなったので)久方ぶりのケミカルな感覚が染み渡り、全身が冷たくなる。特に頭がとんでもなく冷たくなり、今度は一秒でも早く横になりたいほど急激な眠気へ襲われる。
 気づいたらトイレで立ちながら数分眠っていた。この間、記憶無し。せめて座ったり床に倒れ込んだりすればいいものの、しゃがむ動作すらできずにそのまま壁にもたれかかっていた。さすがに体勢的に無理があったのですぐに起きましたが、状況を把握し、あまりの間抜けさに自嘲しわずかに正気を取り戻す。
 どうにかベッドで横に。問題として吐き気と動悸があり、僕の場合は鼻呼吸がほぼ不可能なため横になった姿勢で吐いたら気管に詰まって呼吸ができずに死ぬ可能性がまあまあある。睡眠不足で判断能力も落ちているので、今がどれだけ緊急性が高いかも冷静に俯瞰できない。そうでなくとも頭の血管が切れる恐怖も相まり、そろそろ病院のお世話なんじゃないかと思いつつそのまま眠る。もう頭が動かないので最善策は目を瞑る他ない。
 幻聴。僕は追い込まれた際に天井から大人たちになる自分への悪口が聴こえ始めるのですが、今回はシンプルに鳴ってないはずのアラーム音であった。人の声よりはマシであるものの、機械的な不快な音もこれまた苦しい。
 そのうえで全身が不自然に冷たく、ここまで身体が冷たくなったのは珍しい。「寝不足」というシンプルな生命の危機に包まれている信号を身体中が発信する。いざ眠れたらどうにかなるかもしれないが、先述した理由での寝ゲロだけが現実的にも怖い。が、もう眠る他ない。
 こう書くととにかく苦しそうになりますが、その実ここまでくると薬の交換もあって不思議と心地よいのです。それはそれで危ないけれども。凍死が気持ち良いとされていることは何度か日記に書きましたが、このような感覚の延長線上なのでしょう。冷たすぎて麻痺してくると次は浮遊感の非日常さが癖になってくる。
 そんなこんななので、入眠の瞬間自体は心地良かった。冷たい脳味噌は身体中の熱を逃し、四肢を震えさせる。今も腕は震えたままですが、感覚が消えると痛みもないのでいっそ楽なのだ。
 その後に無事入眠し、インターホンで起こされ打ち合わせ後いまに至る。再び眠るため日記を書き連ねている次第。アニメまでに何度も繰り返していくのでしょう。耐えきれなければ終わり、耐えたらまた楽しくなる。生きることはそれだけしかないですね。
 

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