一口エッセイ:水面下のバタ足

 まだ発表できない段階で企画が溜まっている状態がいちばん苦しいのだ。「自分は今けっこう頑張っているんだぞ!」と言いたいけれど、まだ正式に発表されていないし、どうせ発表するなら大々的にきちんとした形で行いたいので、それまでじっと我慢の時です。つまり、今の僕は言いたくて言いたくて仕方ないことがたくさんあるが、それを完璧なタイミングでお披露目するためにいっぱい水面下で我慢しながら進めているのだ!
 そりゃもうお前、めちゃくちゃ頑張っていますよ。ニディガ関連も、それ以外も、嬉しいことに確実にゲームリリース後から何十倍にも増えた読者やファンが驚くような、それでいて「こいつ……こんなことまで挑戦するのか!?」と感心するような、とにかくたくさんのことが進行しているし、それらは少しずつ確実に発表される! 人が多数関わる企画って発表まで一年以上も全然かかるのだ。わかって欲しい。僕は表面上見えている範囲で悩んでいるわけでない。たくさんの挑戦を抱えた上で、それぞれにまったく違う悩みとプレッシャーで苛まれており、それでいて全てにやり甲斐を感じて楽しくもあるのだ! つまり……悩みつつも充実しているのだね。これは本当に嬉しいことだ。が、大変といえば大変!
 ニディガも延期してから、次こそ絶対に発売できるまでの間、黙々と製作しているゆえに何も言えなかった(何かを書いても「早く作れよ」で終わるから)期間が最もつらかった。大半の人間が「どうせ完成しないんだろ?」とバカにしているのではと被害妄想すらあった。悔しい! が、仕方がない。実際に完成させられなければ、たしかに何の意味もないのです。全ての作品は連載でないかぎり完成ありきだ。
 信じて欲しい。僕は今抱えている企画たちを全て満足に進められたら、それはもうとんでもない成長や経験をする。それゆえに慎重に、そして日常生活はもう数年諦めるレベルで心血を捧げている。が、それも途中で折れたら終わりだ。何も発表されないままアイデアは泡と化し、「にゃるらも特に何もなかったね」で静かに消えていく。周囲の人間と正しくコミュニケーションをとりながら己との勝負だ。そのために今の僕は週3でジムに通っている。大嫌いな運動を行っている! もう首や肩の痛みで作業が中断することや、体力の低下なんかで挫折している場合じゃないから。合理的に考えて恒常的な体力が必要だと判断し、ジムでヒーヒー言いながらバーベルを持ち上げている。えらい……。
 僕なりに100万本越えという数字を受け止め、この機会に自身の精神的成長を、そして何よりファンをさらにびっくりさせてぇという気持ちが強く生まれた。驚くほど真っ当で健全な心が! テキストも作詞も毎日日記もグッズの監修も、全て心の底から本気で取り組もうと真摯な心が生まれ、今はそれに従い生きている。嘘だと思うか? プロデューサーに訊いていいぜ。僕のここ数ヶ月の日記の登場人物はほとんどプロデューサーでしょう。何故ならそれなりの頻度でプロデューサー家に泊まり込んでいるくらい、真剣に諸々を頑張っているから!
 まだ……まだ労いも賞賛も贈らなくていい。必ずどれも盛大な形で、製作陣の満足のいく状態で発表をする。あなたたちはその時に驚いたり困惑したりするといい。僕はその様子を楽しみに、縁の下で石を積み上げる日々を過ごす。
 僕はなぁ……けっこうやってるぞ! 意味もなく落ち込んだり弱ったりしているわけじゃない。大量の仕事に押しつぶされつつ、そのたびなんだかんだ立ち上がっているのだ。なんと泣ける姿だ。数年前までフリーランスとは名ばかりのほぼ無職がだ。お前らが真っ当に期待し、望み、応援してくれるせいで、正当な努力を積む心が芽生えたんだ。もちろん、製作物の内容には、くだらないモラルや倫理は含まれていないけど。僕はそういう表面上の綺麗事への憎しみで動いている! そういった意味では変わりはしない。改めて振り返っても僕は思想が強すぎるし、それをどうにかエンタメに昇華するには文章と作詞しかない。そうでないと僕は本当に関わると危険なだけの頑固ジジイだ。それを分かっているから、こうして面倒くささを武器に生きる選択をしているのです。
 一度書いておかねばならなかった。知っていて欲しいんだ。「がんばってる」とか「ちゃんと仕事している」って部分でない。僕は自身の魂を磨き、形を整え世に送りだす志に燃えている。こうして宣言することで、自ら逃げ場を塞ぐくらいにね。だからちょっとさ、ちょっとくらい気持ち少し優しくしてくれよな。僕に悟られないくらいで。気を遣ってるとバレない程度に、心の中で「お疲れ様」って言ってくれたら、それだけでいいんだ。来るべき発表の時に素直な感想を送ってくれればいい。来なかったら僕の負け。その時は自然に僕が世界から去るだけ。そういう勝負なんだ。まあ、楽しいよ。これはこれで気に入っている。今までの人生でサボりすぎたのも事実だしね。やれるだけやってみるよ。だから、フォロワーとして、読者として、一番いい場所から見ていてね。

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