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一口エッセイ:イラストの発注と依頼側の「目」

 昨日に引き続き製作のお話。昨晩はほとんど自身を奮い立たせるための精神論でしたが。
 なにかを作る際、僕は基本的にテキストをキーボードでカタカタして文字を打つ以外のことはできないので、アート面ではイラストレーターに発注をします。自分の脳内イメージをどうにか言葉にして、「これを絵にしてください!!!」とお願いするのだ。今もコミケでの作品なり、他の企画なりで色んな方に依頼させて頂いています。
 たとえば、あめちゃんのデザインはお久しぶりさんからこのような案で返ってきた。

 すごい。先生にデザインをお願いをして、心から良かったと、調子に乗った言い方をすれば、自分の「この人なら絶対に最高のキャラクターを作れる」という目利きは間違えてなかったと確信した瞬間。
 そのエピソードは置いておくとして、本題はそこでなく、次の段階。「こういったキャラクターや曲を作りたい」「この絵師にお願いしたい!」の次、「そんな自身のイメージを何百倍も膨らませてくれたラフ案から一つ選択する」という、さらに企画・テキスト側の「鑑識眼」と感性が試されるタイミング。今も僕は何度もそのような取捨選択を迫られ、そのたび「こっちの案もいいんだけど本当に申し訳ない……」と咽び泣く。
 具体例として、先ほどのあめちゃん4案を参照ください。どれもかわいいし、ダウナーな雰囲気が独特の魅力溢れる。が、当然ゲーム内でキャラを確立するには一人に削る必要がある。それは絵師側の領分でなく依頼側の判断・仕事ですね。作品内のルックと合うか、動かした際にどう見えるか、今後の作画コストは、他の要素との兼ね合いはどうか、そういったシビアな問題を総合して決定しなければならない。


 で、あめちゃんの場合は「3の髪型で2の服装」とお願いしたワケ。こうして纏まったデザインが、実際にゲーム内でピと生活するプレイヤーの恋人・あめちゃんです。かわいいね。
 見慣れたからこそ、やはり正解であったなと感じますが、1や4も死ぬほどかわいいのだ。もしかしたら別の髪型と服装のあめちゃんが存在したかもしれない。もちろん超てんちゃんも何案かあったし、そのたび泣く泣く案を選択するのである。イラストレーターが生み出した子たちを土に還して土台とする。正直、それが楽しくもある。破壊と創造がそこにあるから。キャラ案やイラスト案っていつ見てもワクワクするし。ちょっぴり悲しくもあるけど。
 そういった作業をコミケでの作品や水面下の企画でも毎週やっていたり、なんならプロデューサーが手掛ける別のゲームでも、イラストレーターだけ僕が選んでアート面に関わったりしている。ニディガの経験を通して、プロデューサーは僕の「目」を信頼してくれたのだ。嬉しいね。それもいつか表に出るはずです。乞うご期待。

 もしかしたら、向こうは「こっちの案がいいのにセンス無いなぁ」と思っているかもしれない。けれども、僕らは自分を信じて発注していく。コミケで現在製作中の作品はその連続で、最近のやり甲斐ですね。マルイノ先生、ありがとう……(まだラフしか正式に発表していないけど感謝が溢れて書いてしまった)。先生が出してくださった案から選択をするたび、申し訳なさと簡単には言い表せぬ昂りを感じております。「絵」という自分では決して表現できない芸術が好きなのでしょう。
 自分の目と感性が腐ったら何もかもが崩壊するわけで、そのプレッシャーも堪らない。「自身の思想と世界観を持っているオタク」と認識され続けないと製作での信頼関係は生まれないのですから。僕は、そのために自分の持つ感性と感覚に浸り、それらを永久に愛していかねばならない。
 独りで文字をカタカタ打ち込むしか脳の無い僕の人生が報われる感覚が、文章のイラスト・立体化にある。恵まれていますね、僕は。


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