VSゴシップ記事
ゴシップがあり、インターネットの人から「キメセク野郎」「腕時計泥棒」「家賃を女に払わせる外道」など、散々なことを言われる羽目になりました。まさに罵詈雑言。それらの誤解が無事に解けたので、一安心しております。
さて、何があったか。
まず、昔シェアハウスなどで一緒に住んでいたり迷惑かけあったりもした仲の方々がコラム連載しており、そのコラムの一つで僕のことをボロクソに書いたのですね。それはもうビックリするほどに。身内だからこんなものだろうと。
それが内輪に留まるならいいとして、さすがに読者はそんな関係性に気づかず、本当に僕が異性へ一方的に酷いことを行ったり、コラム登場者の腕時計を盗んだり、はたまた家賃を払わせる鬼畜野郎と認識してしまった。いやまあそう書いてあるのだから、そうだと認識しても仕方ないのですが、こう言う時は記事の信憑性や相手の言い分も読んで判断してくれ……なんて言えないでしょう。ネットなんてこんなものです。そもそも記事内にすら書いてないのに、おもしろおかしく誇張した方が「キメセクしながら女に家賃を払わせ〜」と誤読してますからね。そんなことしていたらわかりやすい悪役すぎるだろ。もう彼ら彼女らの中では真実味や弁解なんてどうでもよくて、目立つ人間を叩ければなんでも良いターンなのです。が、やはりそういうものでしょう。この現象を止められるものは居ない。
かと言ってさすがに事実と違うことは主張せねばならない。翌日、記事を書いた二人と会った。両者共に会うのは久々で、それでも気軽に軽口を飛ばして笑えい合えたのは嬉しかった。ライター側の方に至ってはこんなことになると全く想像しておらず、申し訳なさそうに縮こまり「90年代の鬼畜サブカル的な記事を目指したんですけどね」と語る。僕も『危ない1号』を集めていたので雰囲気はわかる。鬼畜系を懐かしむトークイベントも参加したし。が、時代はネット。誰もに「アングラノリの記事だから」というリテラシーは無く、すぐさまワードを切り抜かれて拡散される世界。その恐ろしさの片鱗を味わった。
怒っても仕方ない。ライターは本心から反省しているし、ゴシップのネタ元になった女性は存在する。もちろん記事内のような悪辣非道は誓って行っていませんし、向こうも「まさかこんなことになるとは」と驚いているらしい。じゃあもうシンプルに事実を伝えるしかなく、ことの経緯を対談形式で記事にしたのです。該当記事は読み物として面白いと思う。僕らは全員壊れていたので、どうにかシェアハウスの形で互いを繋ぎ止め、人間生活のような何かを形成した。そこで僕はずっとラリっていたりと色々あったが、それでもみんな極々ゆっくりと成長したのです。
あんな場所にずっと居てはいけない。あれは都合の良いぬるま湯だ。けれど、人生が壊れた時にぬるま湯は必要。そういう空間であった。
元は家族のようなものなのだから、身内の失敗は怒る/叱るという単純なものではない。理解と許容。「やったものはしゃーないから、みんなで解決しよう!」と切り替える。というわけで対談記事が本日投稿された。おかげで気が晴れた。自分の主張はそこで述べたし、以降も他人にこの件で何を言われようと、己の中では胸を張って誠実さを説明できるので気にはしない。記事があがるまでのあいだ何を信ずるべきか宙に浮いていた状態のファンに納得してもらえたらなんでもいい。僕はたしかにクソカスのゴミです。けっして聖人じゃないし、貧乏でヤク中で若さゆえの厚顔無恥で他人を振り回してきた。その時の迷惑は謝り続けていくしかありません。ごめんなさい。
でもゲームを製作してからは、創作物を応援してくれるファンを裏切ることはしていない。と書いてもすんなり信じられる筈もなし。自分の考えや創作が万人に受け入れられるなんてナイーブな想像は早々に諦めなければならない。弁解の記事があっても攻撃してくる人もいるだろう。ゴシップ関係なく僕を嫌いな人間もいる。それでも自身のために好きなように生きていくしかない。
今回「キメセクや家賃を払わせるなんてしていませんよ」と、誤読したツイートを拡散した方に直接DMしてみた。真相はともかく、記事内には本当にそのような記述すらない。なので彼はツイートを削除したのですが、それからなんと「こんなことして図々しいですけど自分ってどうすればいいですかね?」と質問されたのだ。
なんで僕がゴシップ荒らしの人生相談を……と思ったが、「悪口を書いてバズるたび似たような人たちが周囲に増えて雁字搦めになる」とも続き、なんだか大変だなと色々話してみた。驚くことに、彼は件のコラムのライター募集に応募すると結論を出した。決断した者は祝福せねばならない。こうなると僕も純粋に応援する方が楽しい。
結果的にゴシップ記事を書いたライターは意図せぬ事態を招いたことで思うところあって休止、誤読で異なる事実を拡散した方(無職)は反省して前向きに次のステップへ。こうなると怒りのやり場が消え、誰にも怒鳴れないので「なんなんだ……」ともなりましたが、僕の関係者は心配したりネタにしたりで疑うことはなく、なによりファンは信じてついてきてくれた事実は嬉しくて、綺麗事で纏めると雨降って地固まることに。
どうにかポジティブに考えると、昔の友人と久々に話せたし、ネットが急に敵に変わって翌日には収まる現象を自身で体験したのは貴重なことです。この鬱憤や悲しみは創作に活かす他ない。僕らは何かを作ることでしか結局は好感度も信頼も築けない。逆に言えばゲーム作っていて良かったよ。何があろうとも僕がゲーム一本企画して作り切った自信と事実は消えませんから。それは間違いなく僕がこの混沌の中で得た力だ。あんなにおそろしい乱れたインターネットからこの雪みたいに美しい毒電波がきたんだよ。
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