見出し画像

テセウスの船と適応

 この前、展示会のため10時起きをして以来、慣れぬ早寝早起きのせいで体調が不安定になってしまっている。たまに午前中に起きるだけで数日寝不足が続く。不便な身体だ。つねに眠たくて倦怠感があるけれども、なんらかの締め切りがあるのでリラックスして快眠もできず、半端な状態が続いてどうもスッキリしない。かといって体調不良とまではいかないラインが永久に続く。
 週3でジムに通っているので肉体部分は問題ないだろう。手術後にだんだんと鼻呼吸の練習も行っており、いずれは睡眠時もスムーズな呼吸が可能となって安眠できることでしょう。というか今まで口でしか呼吸できなかったの不便すぎたな。それは置いておくとして、ならば次なる課題はもう十数年分身体に染みついた不規則な睡眠時間と不眠である。
 サボらず米青ネ申禾斗に通い……というかサボってしまう理由も昼に起きれないからなので、これも昼夜逆転がおさまれば自動的に解決する。つまり、一度決心して薬をもらいにいき、処方薬の効果により夜に寝て朝に起きる生活をすれば、もしやすんなり健康が手に入ったりするのではないか。
 その状況に対して恐怖もある。テセウスの船だ。筋トレを欠かさず、睡眠時間も確保され、生来の障害も手術で矯正し、朝から太陽を浴びて暮らせるようになったなら、それはもうこれまでの僕とは想像つかない生活になる。「不規則な生活による不眠と不調」で何もできない日の頻度をだいぶ減らせるとしたら相当ありがたい。けれども、それはもう元の僕だろうか。当然、それでも僕なのだが果たして原型を留めているのか。
 しかし、人生に変化はつきものであるし、不健康をアイデンティティにするのは安直な退廃感への陶酔に過ぎない。案外、読書や映画を観る時間が増えてのんびりできることに適応するかもしれぬ。最近、日々のじんわりした怠さのせいで複雑な作品を遠ざけていた。といっても、その時はその時で軽めのギャグ漫画や日常モノを読む機会になるからいいのだけれど……。
 トレーナーは繰り返し「筋肉があって損はないですからね!」と言う。たしかにそうだ。過去の自分はあまりの運動不足、スポーツのできる人間たちへの嫌悪感ゆえに筋トレまで憎かった。ゲーム製作中あまりに椅子に座りすぎて肩と腰がダメになったから意を決してジムに通ったが……それもだいぶ適応してしまっている。今や105㎏(ジム内の重りのMAX)を背負ったスクワットも安定してこなせる。人は半年もあれば根本から作り変われる。少なくとも肉体は三ヶ月で(細胞的に)まるっきり健康状態が組み変わる。
 こうして、眠る前に投稿している日記を昼に書いている時点で相当危険な合図なのだが、来月あたりから意識して1.2時は眠ってみようか。意地でも午前中に起きることを心がけてみようか。
 太陽が怖い。世界が明るく、街は通行人で溢れ、ネット上も様々なニュースの喧騒でゴチャゴチャする様子が小うるさくて恐ろしい。深夜の静寂を楽しめない日々が不安だ。けれども生きるためには仕方がない。健康すぎて自分が自分じゃなくなっても、生存を優先する習慣を試してみるのも一興か。
 と書きつつ、実行できる気は全くしていないですけどね。決まった時間に眠る。子供の頃から諦め続けてきた最難関事項だ。

サポートされるとうれしい。