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選り抜き一口エッセイ: ガァララ・ス・リープ

 自分がプリパラ・アイドルタイムプリパラで最も好きな回は、「しゅうかとガァララ」でして、特にガァララ・ス・リープさんの存在自体が、なにより大好きです。
 ガァララは夜を管理する存在なので、夜中にしか行動できませんでした。もう「夜を管理する精霊」という設定から好きにならざるを得ませんね。ガァララは、そのせいで他人と交流することがなく、いつしか女の子たちの夢を奪うことで、昼間にも起きられる状態となります。
 「自分が起きているために他人の夢を奪う」、字面だけでは完全な悪役なのですが、彼女にだって日中を楽しみたい欲求があるのも当然。つねに孤独な生活は死んでいるのと同義であり、自分が生きることを目的にしたからには、手段を選んでいられない。生きようとすることは誰にも責められない。この問題に対し、何を善とするかを少女たちが決めるには、あまりに重い。
 しかし、ガァララはしゅうかという掛け替えのない親友と出会い、「夢を奪うとしゅうかが傷つくから」という理由で、自身の生存よりも、友人の感情を選択する。このガァララの道徳心が素晴らしい。そしてガァララは夢を奪わないまま永い眠りにつく。まるで、「生き物の命をとるくらいならおれは死んだほうがいい」と最期まで菜食主義を貫いた宮沢賢治のように。

 少女たちの夢を奪ってきた「悪」であるガァララは、ライブ中、その幻想的な青紫に包まれたステージの上で、とても優しい表情をするのです。

 毎日の日記をまとめた同人誌からの選り抜きです。興味を持ったら新刊買ってくれると嬉しいぜ!

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