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停滞とロックンロール

 「現状維持は停滞ですよ」とジムのトレーナーが毎回重りの重量を増やす。僕はそのたび身体的に追い込まれるものの、「現状維持は停滞」とはっきり告げる格闘家(トレーナーは元格闘選手)の志が好きだ。まあ、そのせいで脚はもう(トレーナーが担当している)RIZINの選手とほぼ同じメニューになったらしているのですが。
 この精神は僕の生き方自体にも繋がっている。元から僕はマリリン・マンソンのアンチクライストスーパースターな生き様、ロックンロールとゴシックに感銘を受けたガキである。窮屈に停滞した秩序を壊してでも貫く美学のために生きている。
 で。といった理由からニディガ含む僕の活動も基本的にやってみることには新たな方法へ挑戦し続ける。たとえば今回の新曲に原口さん、ボーカルを超てんちゃんでお願いしたのは、そうした新たな風が全員の成長につながると信じているから。というか失敗したっていいじゃないか。同じこと繰り返すよりいいよ。
 新曲や個別の新要素に関しては非常に気に入っている。というか今回の放送に合わせてここまで準備や監修、テキストなどを熟せた自分を褒めてやりたい! ただ、『きゅびずむ』という曲へ繋げるために、あえて虚実を織り交ぜていく塩梅には失敗だなと反省している。直前で使用予定のモデルが不備となり、望んだ形にならずそれに引っ張られた部分もある。それさえ僕がリハやチェク怠らなければ、見え方は違ったかなと思う。とはいえ、今回は今回で結構好きな点も多い。配信者としてのリアリティとかね。どのみち同じことをする気は無いので、今回やりたかったことは次回(が、あるとしたら)に挑戦しつつがらっと変えていけばいい。
 僕らも手探りなのだ。そして試行錯誤することが好きなんだ。それがインディーであることの利点である。自由のためなら傷つき傷つけられたっていいし、人間はそうあるべきと感じる。

 とはいえ、今回のミスの傷はちゃんと残しておくべきで、そのうえでファンたちが超てんちゃんを祝ってくれる気持ち(0時を迎えなかったので準備したままで終わった人は申し訳ない)が嬉しく、これからもやるぞという気持ちを形にするため、スパチャ額の合計と同じ30万を寄付とした。まだまだ進化できる余地があるうえでお金をもらう(スパチャが僕に入るわけでは無いのだが)ことに納得できないし、これでいいと思ったのです。
 今回を機に得られたものも多く、各々が停滞しなかった、何より自分がそうあれたことは大成功です。


 たとえば、お久しぶりさんのイラスト表現なんかは、ぐんぐん研ぎ澄まされている。今回の絵を見てニディガで美術館的なイベントも必ず開こうと決意したほどだ。
 僕はそういったことがとても嬉しく、今後あるであろう再びAiobahnと作る曲も楽しみだ。原口さんとの曲は(収録時に一緒に居たし)彼にも良い刺激になったのではないか。
 一つだけ愚痴をこぼすなら、僕はその保守的な現状維持、大企業的な態度がとても嫌いで、昨今のインディーに企業が出資し(この時点で真に暴れることはできなくなる)、製作者の名前もほとんど出さず、誰の魂が入った作品かをリスク回避で秘匿する現状が不快です。
 僕は新たな世代たちに、ネット上で炎上しないためのやり方と自我の牙を抜かれた創作を学んで欲しくない。エゴがある。
 筋肉と同じ。破壊されることで強固に再生するのだから、秩序も文化も壊す勢いで居てほしい。それは名前を隠して自我を殺したままじゃできないよ。

 抑圧はそれを突破する力を生む。企業のやり方にキレた若者は必ず生まれる。僕らは新たなアンチクライストスーパースターへの種を撒くのだ。

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