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一口エッセイ:町に馴染む

 誰でも一度は、亀有での両津勘吉のような存在に憧れたことがあるでしょう。外を歩けば商店街の方々に話しかけられ、公園へ行けば近所の子供と遊ぶ。地域と馴染んだ、人情溢れる町の人気者。
 毎日、中野ブロードウェイを散歩しながら買い物しているうちに、たまに店員さんに話しかけられるようになりました。たとえば、4階には宗教や精神世界に関する書籍を扱う書店があるのですが、僕はたまにそこで宗教関係の本を漁っているうちに、店員さんの本から「○○(カルト宗教)の本入ったんですよ!」と嬉しそうに話しかけられたことがあります。中野ブロードウェイで、店員さんからカルト宗教の本を勧められる体験、いいよね。

 つい先日は、3階の本屋でショーケースを眺めていた際、店員さん(以前にもショーケース内の本を購入したので顔見知り)から、「クロックタワー2の小説版ありますよ!」と話しかけられた。もちろん、クロックタワーが好きだなんて深い世間話をしたことはありません(レアなホラー漫画はよく買っていますが)。「話しかけたらクロックタワー2の小説版に興味を持ってくれるようなオタク」と認識されている事実が誇らしすぎる……。



 結局、この日はMOTHER2とパロディウスの本を買って帰りました。その際、店員さんが「ゲーム関係のコミカライズってめっきりでなくて寂しいですね」と嬉しそうに喋ってくれて、こういう交流って良いなと。自分が中野ブロードウェイの一部になってきた感覚が心地良かったのです。問題としては、「毎日中野ブロードウェイを散歩している、無職のヤバいオタクA」でしかないことでしょうか。


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 若い頃に書いた商業エッセイ集もよろしくね。この頃は、秋葉原に住んでいました。

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