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一口エッセイ:不器用さと素直さ

 少し昔のこと。急に知らないアニメアイコンの男性から「人生楽しそうで羨ましい」とDMが来たので「あなたは何か楽しいことありませんか?」と訊いたら、「お絵描き 下手だけど」と返されたから「お絵描きがんばりましょう!」と送ったことがありました。それから彼は最初の失礼な絡みを謝ったあとたまにどうでもいいことをDMで報告してくるようになりました。
 あんまり他人との絡み方が上手くないようで、友達ともトラブってしまっている様子がスクショで送られてくる。そもそも僕にも最初は無礼な皮肉を送信していたわけで、ネットでのそういう感じに多少の慣れはある僕はともかく、身近な友達は呆れることもあるだろう。最初に言っておくと、僕は彼を嫌っていない。どちらかと言えば、その素直さがちょっと好きで、少し心配している。それはそれとしてウザ絡みの代償として日記に書くくらいは許して欲しい。悪口のつもりではありません。
 しばらく間があいたので彼のこともすっかり忘れており、どこかで元気にやっているのだろうと思っていたら、ある日僕のDiscordサーバーへやってきた。誰でも入れるサーバーで現在は1万2千人。それでも見つけられたのは、やっぱりサーバー内のコミュニティで彼が若干目立ってしまったからです。具体的には、彼が鬱っぽい発言をしたあと、別の方の発言に対して「それ自分のことですか? ごめんなさい」みたいな絡み方をしており、それを見た数人が「あなたのことじゃないよ」と嗜めていたのですね。
 まあ、弱っている時はそんなこともある。みんなも(サーバー内の人たちを個体認識していないので誰が誰かはわかりませんが)優しく注意していたので、特に大事にもならなかった。良かった良かった。が、彼はそのあと「このサーバーの人冷たい にゃるらにも冷たくされたし……」と書き込んでおり、わりとどうでもいいDM返してあげていた方だろ! とツッコミたくなりましたが、これくらいいいでしょう。その後も、彼はサーバーで少しずつ人と交流するようになっていたので一安心。お母さんか僕は。
 で、その彼から久々にDMがきた。内容はこんな感じ。


 ここで言う「みんなの輪」は、サーバー内の人たちですね。僕は管理人が特別扱いされることを嫌っているので、極力サーバー内に書き込まないし、参加人数的にも僕やニディガに無関心の人もたくさんいる。けれども、やはりニディガを好きな人たちもいてくれて、多少は原作に触れていた方がコミュニケーションし易いかもしれません。が、彼は繊細な人間なので、精神的に暗い部分もある僕のゲームの刺激はつらい部分もある。作者に「無理してやってます!」と言うのもだいぶアレなことであるが、それはともかくとして、みんなの輪に入るため努力すること自体は悪いことではない。なら、無理せず自分の好きな方向性で輪に入るとどうだろうかと返すと、納得してくれたらしい。たぶん。
 不器用な人だ。けれども、先述した通り僕はわりと彼を気にかけていて、その理由を考えていたのですが(だいたいのDMは無視か絵文字で対応している)、「正直」であることと「攻撃的ではない」ことでしょうか。彼は「みんなと仲良くなるためにあなたのゲームをやっている」と連絡するし、友達と喧嘩したらその内容を包み隠さず貼る。変ではあるが悪いやつじゃないことが伝わってしまうし、無理矢理な理屈をつけて人気者を叩いて賢ぶる様子もないので話が通じる。正直は美徳だ。それでトラブルになることも多々あるでしょうが、嘘をついたり斜に構えて他人を傷つけるやつより百倍良い。長所ですね。
 だからと言って、僕は直接何もしないし、どうもできない。ただ、ここまで素直な上で一応仲良くなる努力もしているのだから、理解のある新たな友人もできるはずだと思っています。これは綺麗事でなく、理屈でいっても最終的に(どちらかと言えば)善の人間の方が勝つだろうという、うっすらとした自分の考えがまた一つ確信に近づきました。こんな場所なんだから、むしろ素直でいる方が難しいし、カッコいいタイプの逆張りだよなと感じます。
 というのを書いてしまう僕も僕で反省すべき点は多々あるのですが、本質的には僕も間違いなく彼と同じ「変なやつ」であり、結局のところネットで友達を作れるようになるまで何度も何度もミスって迷惑かけてきたからだ。頑張ろう。


 
 

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