一口エッセイ:雰囲気で株をやっている
僕がプリチャンから学んだ大切な精神、「やってみなくちゃわからない わからなかったらやってみよう!」を信じているため、数ヶ月前から株を買ってみることにしました。
脳味噌へ強い快楽を与える方法は4つあると認識しておりまして、「仕事/スポーツなどでの成功」「恋愛」「薬物」「ギャンブル」。仕事やスポーツの成功、恋愛は時間と人間関係が必須であるので難しい。手頃に気持ちよくなれるには薬物かギャンブルに流れるしかないのですね。といっても、薬物は基本的にリスクが大きい。そうなるとダメ人間たちは消去法でギャンブルへ重きを置くようになるわけです。
しかし、パチスロやパチンコで儲かる金額なんてたかがしれている。もっと脳汁が飛び出る高額勝負(合法で)として株やFXがある。これは、きっと気持ちが良い筈だと、物は試しとして口座を開設。40万円分、名前が可愛かったり、株主優待が欲しい企業をポチポチ買っていく。定石や知識なぞ1ミリたりとも持ち合わせていない。完全に雰囲気で株をやっている。40万円分の株を眺めていると、毎日数百円の変動があり、「たしかにこれが一気にボン!と伸びたら興奮するけどな〜」と思いながら、数百円の振り幅を観察するのも飽き、そもそも自分が株を所持していることすら忘れたらこの頃。
ふと思い出して久々に口座を開いて見ると……
4 6 万 円 に 増 え て い る !
マジか。プラスで言えば6万円。繰り返しになりますが、僕はなんも予想や読みをしたわけじゃない。「なんか名前がかわいい企業」をポチっとしただけ。逆に、雑念が混じっていないぶん、ビギナーズラックを発揮したのでしょう。そもそも「株を買う」という体験がしたかっただけで、数万損する結果になるだろうとすら思っていた。それがまあまあ儲かっている。家で寝ていただけで。
これは恐ろしい……。購入が10倍であれば、単純計算で60万円勝っていたことになる。パチンコと違って台の前に座っている必要すらない。画面を開けば赤字で表示される評価損益+約6万の数字が気持ちいい。危ない。これは危ない。ここから「次はちゃんと勉強して、もっと大きい額を入れてみようかな♪」なんて思考に陥り、もっともっと大きな脳内麻薬を得たくなる。なぜなら、僕は仕事やスポーツの成長は至極面倒くさく、恋愛関係にはほど遠い人間性で、薬物に溺れた過去を断ち切らねばならないため、消去法で合法ギャンブルに適性があるダメ人間だからだ。
「放置してればもっと増えるんじゃないか……?」と一瞬脳裏をよぎりましたが、素直に現物売して+6万で満足することにします。ワンピース全巻でも一気に買おうかな。
「株」の雰囲気だけでも一瞬味わえた。これだけでいいんだ。楽しかったしわりとプラスになったんだから、良い思い出としてスッと手をひこう。次は100万で……なんてやめよう。任天堂なら絶対伸びる筈で……と考え始めるのもやめよう。誰か僕を止めてくれ。口座を開くだけで数万単位でお金が動いていく熱いヒリつきが、今にも僕を地獄の道へと誘い始めている!
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