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一口エッセイ: Welcome to this crazy time このイカれたSNS時代へようこそ

 「無責任な知らない人の意見なんかに流されないで」と「自分と周囲だけの反応や雰囲気だけで凝り固まらないで」は矛盾しない。インターネットに蔓延る有象無象の言葉を鵜呑みにする必要もないが、狭い範囲だけで気持ち良くなる井の中の蛙であっても足元を掬われる。
 仏陀の言う「中道」なのでしょう。どちらに偏ってもだめで、何事も中間のちょうどよい塩梅を進まなければならない。とはいえ、こんなありがたい教えも抽象的な理想論でしかないのですが、悟りの境地に至った人間に反論しても無意味なので最強です。言っていること自体は現実的かはともかく間違っていないと感じます。
 つまりは、「他人に流されずに己を貫く」べきだし、かと言って「自身と身内のみを信じて後ろを振り返らず突進する」と取り返しのつかないことになっていくわけで、しかし常人が極めて冷静に自分のポジションを俯瞰して客観的に行動することは不可能であり、もしそんなことを実行できるのであればそれこそ例に挙げた神や仏の域に達している。
 ここでポイントとしては、後者……自分と周囲だけの世界に閉じこもって暴れるようになった人間が居たとして、彼が必ずしも不幸かと訊かれると誰も断定できないことではないでしょうか。井の中で過ごすかぎり蛙は幸福なわけで、むしろ変に他者を気にしすぎて雁字搦めになるよりは賢い生き方かもしれない。デメリットとしては、ふと我に返ったときに罪悪感と後悔で押しつぶされることでしょうか。
 批判や評価でなく理屈が破綻したアンチの嫉妬や罵詈雑言は無視すべきだし、同時にすべてを肯定してくれる盲目な信者に都合の良い旗頭にされることも避けていかねばならない。この広大なインターネットに接続されてしまった以上、殻に籠ったところで無限に「他者」が発生する。信者もアンチも行動原理があるからまだいい。最悪なことに、この世界ではもはや言葉が通じない人間が衝突してくることも多々ある。どう気をつけたところで事故に遭う可能性は0にできない。


 Welcome to this crazy time このイカれた時代へようこそ。人生の一番の悩みである「人間関係」が永遠に発生する現代は地獄だ。まともな奴ほどFeel so bad。それも、「正気でいられるなんて運がいいぜyou」とは続くかない。あなたの正気なんてネットの誰も保証しない。気づけばすでにどこかに偏っているかもしれないし、先述した通りその方が幸せなこともある。人間をやめれば誰だって簡単に幸福になれる。京極堂もそう言っていた。そういう救済措置に近い選択肢もあるのです。この尖ったゲームバランスだからこそ面白いとも言える。あなたは、右も左も他者に囲まれたSNS社会でいつまで狂わずにいられるかな?


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