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一口エッセイ:おねがい☆ツインズ

 暑いのか涼しいのかいまいちわからない、曖昧な季節がやってきました。そう、『おねがい☆ツインズ』の季節ですね。

 このアニメの空気感はたいへん素晴らしい。夏になるたび再生する。背景美術の繊細さが美しく、KOTOKO &佐藤裕美の最強タッグによる最高の主題歌を浴びているうちに、みるみる自身が田舎の夏に吸い込まれる。どの場面を切り取ろうとも、二人の少女と過ごす季節が目の前に「ある」。あまりに「あり」すぎて、なんでもないシーンで涙が流れるくらいに。

 ストーリーとしては至って単純で、主人公の家へ押し寄せてきた二人の女の子のうち、どちらかが実妹でどちらかが他人。3人とも誰と血が繋がっているかわからないまま共同生活が始まり、やがて恋に堕ちる。が、兄妹で恋愛することはできない……片方は芽生えた感情を強制的に諦めなければならない。

 もちろん雰囲気のみでなく、本筋も素晴らしい。『フタコイ オルタナティブ』と同じく、ヒロイン二人と主人公一人の「3人でひとつ」という歪な関係を誤魔化しながら進む日常の瞬間瞬間が綺麗。サビの歌詞に「限られた時を生きるから」といったフレーズがありますが、彼女たちは、「血縁関係が判明する」までの正しく限られた時間の青春を全力で過ごす。3人の仲が深まるたびに、確実にくる「終わり」を予感させる、そんな切なくて繊細な一夏の物語。


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