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一口エッセイ:作品を完成させられない高校生の悩み

 久々に、お前らからの質問でも読むか。質問への回答は、上から目線で話して気持ち良くなっても、文句言われない無敵のシステムなのだから……。
 質問をざっくり短縮すると、「漫画家になりたい高校生で、描きたいこともあるけど、どうせ無理という気持ちが強くて筆が動かない。どうすれば自分の作品を最後まで作れますか?」とのこと。
 なるほど……。もう、この時点で僕より遥かに偉いので何も言えないぜ。高校生の頃の僕なんて、将来の夢のために行動したり、苦悩を抱えたりした経験が一瞬たりともありませんからね。そもそも夢自体が無いし。ファイズみたいな状態。僕が文章書き始めたのは、一人で上京して友人も知人も存在しない環境となり、「このままじゃ孤独のまま死んでいく」と感じて、ブログを開設しただけですからね。夢とか書きたいことレベルに到達しておらず、「僕を見てーーー」って、本当にそれだけです。
 その歳から悩んでるだけで偉い。漫画を完成させられなくとも、恐らく絵の練習とかはしているのでしょうし。既に、この時点で何も生み出してないのに何故か偉そうなヤツらより上だぜ。しかも、描きたいことまである。貴方は立派だ! とはいえ、「作品の完成」って超々ヤバい苦行。僕も約2年間、黙々とニディガを製作しておりましたが、「これ本当に完成できるのか……? 仮に完成したとして、そもそも面白いゲームになるのか?」と毎日不安でいっぱい。そう考えると、大掛かりな作品って、完成できた時点で相当なものだ。だいたいの企画って、なんか途中で空中分解したり、一人だったら、さっさと投げ出して終わるのでね。
 ですから、「完成」させた体験は、ものすごく重要だと思われます。たとえ世間で評価されなくとも、経験値として溜まりますから。大半の人間って自分の完成品がウケなかった「挫折」すら体験できない。そのまま、「完成させられてたら人生違ったのかなぁ」と妄想して平凡に暮らすのです。それはそれで幸せかもしれませんが。人生って、必ずしも何かを成しとげる必要ありませんものね。
 「どうせ無理」だったとしても、挫折しただけ経験値の質は違うので、やるだけ得でもありますよ。他人に話す失敗ネタにもなる。「完成したけどダメだった」って話、みんな興味持ちますよ。なんなら応募しただけでも尊敬される。その瞬間は、それなりの満足度があるでしょう。
 と、ここまで書いてなんですが、僕は企画の経験がそれなりにあるので、企画書の時点での良し悪しが多少は分かるつもりです。イベントはともかく、作品であれば企画書の時点で破綻している場合、だいたいは形になりません。逆に、企画書時点でめちゃくちゃ面白そうと納得できたら、テンション上がって勝手に腕が動いたりします。
 質問者さんは、既に描きたいことを見つけているので、ストーリーの構成だけでも字で並べたり、できればネームまで切ったりして、まずは企画としての成立を目指すのはどうでしょうか。そこで、「これ意外と面白くね?」と自信を持てたら、あとは勢いのまま筆が乗る可能性もある。自分が良いと思う展開を並べて、点と点を繋ぎ合わせる作業自体は楽しいから大丈夫だよ。それもできなさそうなら……まぁいつかやれるかもと笑って誤魔化そうや!



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