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一口エッセイ:モンドリアンの抽象画

 モンドリアンの絵が好きで、最近はクラフトワークの機械的な曲に合わせて鑑賞し、そのパターン的な世界に入り込んだように浸っております。どうやら僕は音楽や美術の嗜好として、シンプルな方向に美を感じているらしい。あまり言語化できない感覚ですが、規則的なモノを嗜むと気分が良くなる。

 これもうまく説明できないですが、モンドリアンの絵からは『Liminal Spaces』と同じ心地良さを覚えており、『Liminal Spaces』のがらんどうな不安と懐かしさ、異空間との境界らしさが、モンドリアンの抽象画からも伝わるのです。孤独な深夜に、クラフトワークを聴きながら、この二つを行き来すると、だんだん思考が空間に溶け込んで小気味良い。
 モンドリアンの絵は、是非描かれた順を追って鑑賞するべきでして、風景画や水彩画から入り、世界から「普遍的な美」を取り出していくうちに、だんだんと抽象的な四角を描き始め、最終的に「究極の均衡」の美へ向かっていく過程に感動します。そして、何より水彩画自体の作品『アマリリス』が素晴らしい。あの無機質な印象のある抽象画の裏には、この『アマリリス』を描いたような感情が眠っていると思うとさらに心動かされる。

 この『アマリリス』の実物を一目見たいと願ってやまないのですが、どうやら個人蔵なので、その夢は叶わなさそうです。大衆に評価されてこその芸術を独り占めする行為、なんと最高の体験なのでしょう。収集癖のあるオタクとして、喉から手が出るほど羨ましい。僕は、死んだ時に自室を美術館のように展示してもらい、生前集めたコレクションを自慢することを目的に生きている。


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