見出し画像

一口エッセイ:どちらへ転んでも地獄ならば

 久々に匿名メッセージサービスを開いたので気になったものを読んでみます。ぜんぶ目を通しています。ありがとね。


 「高卒認定試験」、合格すると高卒と同等の学力があると認められ、大学やら就職やらが有利になったりするものですね。僕は無理してまで学校に通う必要はないと思いますが、強く生きるために知識と教養で自衛しないといけないと感じていますので、こうして学校に通わずとも「高卒同様の学力が認められる」制度の在り方、何よりそれに挑戦する精神は立派だと思います。

 さて、「超てんちゃんみたいに天職に就きたい」とのことですが、配信者が職業かと言うと微妙なところですよね。有名配信者でさえクレカ審査に落ちたエピソードがありますから、少なくとも社会的信用はなかなか得難い。不安定なフリーランスの一種でしょう。僕も最近までクレカ無理だったよ。今の家はプロデューサーが保証人になってくれたから借りれたよ。
 フリーランスに関してはなろうと思えばいつでもなれる道なので、「就く」とはニュアンスが違うように思えます。まあ、この方が言いたいことは「天職(やりたいこと)で生きたい!」意気込みなので、厳密なことはどうでもいいと思いますが。自分で試験を受けに行く気概があれば実現の可能性はあるでしょうし。頑張ってくださいね。そもそもゲーム内の活動期間は一ヶ月の超てんちゃんや、ましてや運と時代に恵まれただけの僕なんかは参考にしない方がいいですが。
 で、一昔前までは「学力がないなら創作やネットでの活動……要するにサブカルの道へと全力で懸ける」生き方もあると考えておりました。例えば自分もそうだし、たまに日記に書いていたエロ漫画家になった同級生などはそんな感じです。就職して企業や社会相手に安い給料で働かされて痛い目に遭うよりは、一か八かの綱渡りを続けた方がまだ幸せであると信じていた。
 今でもその解釈はあまり変わっていませんが、ちょっとだけ補足すべきかなと本日の主題にします。サブカルとネットカルチャーが肉薄している昨今、創作であろうと配信などの活動者であろうと、大なり小なりインターネットで人格を持って生きることになります。もちろん常識を超えた強大な才能があれば例外はあるけど。
 現実社会で怒られながら生きるよりマシだろうと認識していたものの、人と人の距離が近すぎる現代では角度によってはネットで活動する方が大変かもしれない。罵詈雑言や人格攻撃、あらぬ噂にゴシップ・捏造、逆恨みにあげ足取り……どうしても避けられぬネット民からの圧力をあげれば枚挙に暇がありません。日々、どこかで創作者が筆を折り、配信者が休止や引退をしている現状で、けっして「現実よりも快適」なんて楽観視はできない。もはや現実とネットが地続きの社会を形成していて、現実で浮いている者ならネットでも浮きます。そして、出る杭を打つ人数はネット民の方が何千倍も存在するのです。現実はせいぜい社内や家族の人数でしかないものの。
 明確な他人に迷惑をかけた犯罪ならともかく、人間らしい間違い、若さゆえの過ち、弱音、失言、喧嘩、とにかく全てが攻撃の対象となり、すぐさまネットリンチへ変貌します。誰であろうと不特定多数の他人から攻撃される謂れはないと思いますし、叩かれている人間へ同情することの方が今は多いです。攻撃している人間が正義側に立てることで偽善に酔っている方がムカつく。特に今は一気に有名になる確率が高く、悪意への耐性がつかないまま世に出る危険とも隣り合わせだ。
 もう現実もネットも、どちらへ生きようが修羅の道。少し前までなら、まだオタクにとってはネット世界の方がマシであった。僕は確実にその恩恵を受けた身なので、こういう道も(それはそれで茨道であるが)あるよと話してきましたが、今は手放しで断言しないでしょうね。
 どこへ至って残酷な社会、大衆の同調圧力に見舞われるのは確定している。ある意味、必然が起きるだけかもしれません。なら、なにに就くかなんてどっちでもよくて(国から最低限の生活は保障されているし)、自分の魂の輝きを優先するべきだ。大衆、常識の善悪はともかく、自身が「これは魂が穢れる」と感じたことをいかに避けるか、が主眼ではないかと思っています。絶対に非難も苦難も避けられないのだから、魂の芯で生きていくしかない。
 そういう意味では、高校に通わずとも「高認試験」を取ろうという精神性がある時点で、立派なものだなと感心です。僕は、そういう試験勉強的なことできませんから。「深夜に起きてしまった」と書いている通り、日付が変わるまでに眠っている健康な生活サイクルも素晴らしい。
 今の自分は、「この人ネットの意見に合わせている(真似している)だけ」だなと感じる瞬間が最もショックを受けます。今後どんな道へ進もうとも修羅の世界ですから、自分だけは見失わないことがお金や立場より重要に思えます。


 今月でBOOTH閉じますよ。商業エッセイ集もよろしくね。

サポートされるとうれしい。