見出し画像

紆余曲折を経てカオスで良いイベントになった超会議

 先週末は超会議でした。僕は締め切りに追われて不参加でしたが、パペット超てんちゃんとみんなが写真を撮れるようにと等身大あめちゃんとのフォトスポットなどを企画。嬉しいことに去年から来場者数が250人増えてグッズの列も溢れんばかりとなりました。現地の写真や動画をたくさん送ってもらったよ。遊びに来てくれた方々が楽しんで頂けたなら何よりです。


 さて、遠隔とはいえ拙作のブースがあることと、オンラインでいろいろ連絡はし続けたので、今回の超会議の雰囲気がいつもと違うことがなんとなく伝わる。そもそも超てんちゃんブースの来場者数が増えたことも、今回から明らかに例年とイベントの空気感の変化を物語っている。
 まず、最も大きな変化は「ドワンゴ特有の文化色が薄まり個々のクリエイターが強く目立つようになった」ことでしょう。今まではあくまでイベントの中心はニコニコ動画の文化が主なので、良くも悪くも「ドワンゴのイベント」な印象が強かった。が、紆余曲折を経て落ち着き始めたドワンゴがメインから一線引いて各自に任せたことにより、たとえば僕らニディガのブース、ボカロPたちによるライブ、配信者たちとのサイン会や握手イベントなど、「ネットの変な文化」が思いっきり目立つことに。
 結果、現代では数少ない「ネット文化を非常に近い距離で楽しめる空間」へ奇跡的な進化を遂げた。けっして手の届かない超有名配信者たちでなく、登録者数数万〜数十万までの良い意味で親しみのあるクリエイター/配信者とゆるく交流できる、ある意味でニコニコ動画らしいイベントが出来上がったのです。元ドワンゴ関係者たちも「真にニコニコっぽい空気にようやく辿り着いた」と大喜び。コロナで燻っていたリアイベを求める10代の来場者も明らかに増えたことで、もしかすると今一番ネットの混沌とした謎のイベントして面白い場所になったのではないか。第二の理由として若いオタクがはしゃげるリアイベがなんだかんだで希少だから、とりあえずゴールデンウィークの想い出に超会議行こうという選択肢が強くなったと思われる。
 超てんちゃんブースの来場者数が増えた理由も、「とりあえず楽しそうだから超会議きてみた」ライト層が多かったからと分析している。リアルな話では来場者数は多いけれどグッズの客単価は下がった。要するに、「超てんちゃんって見たことあるからせっかくだし寄ってなにか買ってみよう!」という子たちが増えたんです。嬉しいね。ありがとうございます。そのような人たちの何割かが原作も購入し、さらにその内の何割かに深く刺さっていくと良い。
 もちろんコアユーザーも多かった。プロデューサーの体感では300人くらいニディガ関連のTシャツやアパレルを着ていたそうで、コスプレは初音ミクの次に超てんちゃんを見たとのこと。回り回ってニコニコ的な文脈と合流したのかもしれません。弱ったと思えば意外な形で復活……というかクリエイターたちがそれぞれ好きに騒いで勢いを取り戻したことはニコニコらしくて良いね。今年行けなかった事実を悔しんでいるよ。
 メインのステージが消えたことで、各クリエイターや配信者も地べたでパフォーマンスをすることとなる。結果、目線が客と同じになるのですね。変に視覚的な上下もなく、ぽつんと会場にいたクリエイターが突発的にファンに囲まれてにこやかに交流する。こう書くとめちゃくちゃ素敵なことに思える。面白いことに、登録者数100万以上よりも数万クラスの珍しい人たちの方へ人だからができて囲まれるそうで、ファンたちが「親近感」を求めていることが分かる。去年、僕ものんびりZUNさんとビールを飲みましたが、その際もファンたちがたくさん近くに居た。この緩い感じはなかなか他のイベントには無いのではないか。
 そんな隣では新進気鋭のボカロPたちがライブでフロアを沸かしている。彼ら彼女らは間違いなく新時代のネットスターとなる。この距離であの人たちを眺めることができるのも今だけかもしれませんよ。
 すごい。何もかもが一周し、あらゆる困難を乗り越えてきた結果、過去から望まれたインターネットのカオス空間が現実に顕現した。その中心の一つに自身のコンテンツがあること、若者たちとオサーンが一瞬でもリアルを忘れて夢を見られるスポットを提供できたことを嬉しく思う。各スタッフ、遊びに来てくれたみなさん、ありがとうございました。来年はきっと行くよ。

サポートされるとうれしい。