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一口エッセイ:大塚国際美術館
大塚国際美術館へ行きました。ここは地下3階から地上2階までびっしりと名画が飾られていたり、海外の宗教建築を再現した空間が広がる。一日かけて回ってようやく見終わるかどうかな圧倒的物量。これが四国の広大な土地パワーだ。
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素晴らしい。日本ではめったに見れない荘厳な宗教建築を再現した展示。こうして宗教画に包まれながら讃美歌を聴いていると次第にその神聖さに悶え、こんな環境の中キリスト教を越えた恐怖を文学や音楽で表現してきたラヴクラフトやマリリン・マンソンへ想いを馳せる。巨大な教会やお寺は、信仰心の薄い者でも神な仏の偉大さを直感的に伝える役割もある。実際に足を運んで見たらわかりますが、ここまで神々しい場所を体験すると無心論者でも感情を動かされてしまう。神に近づくために過去の人間たちが挑んだ「宗教建築」なる狂気染みた芸術の重みを実感。
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飾られている絵画は全て陶板名画といって、あくまで実物を忠実に再現したものであるので撮影もできます。恐らく、素人目では本物と見分けがつかない。それこそ若い頃に初めて目にしたセザンヌの衝撃を忘れてしまった大人には無理さ。
やはり名画には宗教画の割合が非常に多く、数分歩くとすぐキリストが磔にされている。二次創作のやり甲斐ある推し一番の名場面ですからね。真面目な話をすると、館内BGMの聖歌と併せて、神の威厳や清らかさを人々へより効果的に伝えるため、宗教の概念が絵や音楽などの芸術文化に与えた影響の大きさに感動を覚えます。みんな神の美しさを表現するため、文字通り命を懸けて創作へ臨んだ時代がある。それはとても素晴らしいことだ。
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これは米津玄師の『Lemon』。現代日本最新の名画です。
にゃるら pic.twitter.com/GtSW4GVcOw
— にゃるら (@nyalra) May 16, 2023
僕の嗜好としてはモンドリアンなどの抽象画が好きなので、大塚国際美術館での展示ではモンドリアンやピカソからのフェルナン・レジェの流れが堪らなかった。フェルナン・レジェの絵画に囲まれる空間の異質さが最も気持ちよかった。
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そう、気持ちが良かったのです。敬虔な信者が十字架とキリストのオブジェに涙するように、僕も幾何学的で抽象的な絵画の迫力に囲まれると心躍るのだ。
なぜ自分がモンドリアンたちが好きで、彼らの絵にどんな想いが込められているかを解説することもできない。けれども、僕はこれらの一枚一枚を穴が開くほど見惚れてしまう。感性の言語化も芸術への理解も遠く浅い自分ですが、このたしかな恍惚感を持ち帰られるのは、美術鑑賞の結果としてなんと幸福なことなのでしょう。
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