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INTERNET YAMERO



 超てんちゃんの新曲『INTERNET YAMERO』が投稿されました。Aiobahnが作曲し、僕が言葉を載せ、KOTOKOさんが歌ってくれた曲です。
 今回はイラストにこかむもさんのみでなく、原作メンバーであるねんないさん、お久しぶりさんも加えた豪華なMVに。プログラミングを担当したとりいさんにも雰囲気を相談したりと、みんなで製作を完成させた僕らの集大成です。もろもろ取り計らってくれたプロデューサーもね。あと収録当日はIOSYSのまろんさんにディレクションをお願いした。僕一人だと音楽用語わからないから。とても助かりました♪
 あと、今回の曲にあたりKOTOKOさんもすごく気合いが入っており、歌い方の提案をたくさん用意してくれました。前回は謎の若者がわけわからん曲と歌詞を用意し、発売していない謎のゲームの主題歌をうたったわけですからね。それでも最高の一曲になったのはプロの技。が、今回はなんとたくさん雑談までした。こうして打ち解けたからこそ、この曲はここまでこれた。チームでの創作において最重要なのは仲間への理解ですね。あのKOTOKOさんと協力する体験、一生忘れられないぜ。
 さて、初めに自分が担当した歌詞と企画の話から。ニディガをリリース後、その予想以上の反響からしばらくいろんな仕事のてんてこ舞いであったものの、監修や打ち合わせなども多くて、「何かを創る」ことが無いことで落ち込んでいました。燻っていたのですね。ゲームリリース後に、クリエイターとして多くの経験や知見を得て視野が広まったいま、その感性を作品にぶつけたかったのです。アプデでの追加ルートも頑張ったけどね! ゲームから離れてってことで。
 そこで「よし新曲を作ろう!」とプロデューサーと話し、「前回はインターネットを過剰摂取したのだから、今回はインターネットから距離をおかせるぞ!」と『INTERNET YAMERO』を思いついた。テーマをAiobahnに伝え、「こんな感じにしよう!」とめちゃくちゃYMOや東方の曲を送ったら、心底嫌そうにしていたので、反省していろいろ話した。オタクの悪い癖すぎる。ごめんね……。
 そんでもって、相変わらずAiobahnから送られてきたメロは凄まじすぎて意味不明だった。ここにどうにか言葉を載せていく。
 まず、今回の曲は全てラスサビの盛り上がりに込められている。ハードな前半から一転、間奏の綺麗なピアノから下り坂を爆走するような加速からのラスト。この熱量は「インターネットやめろ」ではダメだ。超てんちゃんはそれを本心としていない。彼女はそれでもネットがやめられないのだ。なら、ここで「インターネット最高!」と天使は認めてしまうだろう。
 じゃあ、次はサビ以外である。インターネットやめろと言っているのだから、ネットと正反対のことを言うべきだ。では、インターネットの真逆の概念とはなんだろう。と考えた先に出てきたのが宮沢賢治でした。賢治なんて絶対にインターネットのカオス感と相容れないものでしょう。雪細工のように繊細な詩情性とSNSは最も遠いものだと直感した。もちろん、こんな感覚を正しく言語化できないし、しない方がいい。とにかく僕にとっては、スマートフォンを遠くに置いて賢治の詩を諳んじる時間が一番「インターネットをやめている」清らかな瞬間なのです。
 これ以上、喋るのも不粋だと思いますので、作詞についてはこれくらいで。
 嬉しかったのは、MVが完成した際にAiobahnが「これならINTERNET OVERDOSEを越えないといけないプレッシャーもなくなった」と漏らしたことですね。そう、僕らにはどうせ新曲を作るなら前作を超えなければならない暗黙の了解があった。でないと面白くないし、意味がない。ゲームをリリースし、良くも悪くも大人や環境に揉みくちゃにされた僕らの研ぎ澄まれた感性の見せ場である。プロデューサーも、「間違いなく今のにゃるらは筆が乗っている」と評していた。自分もそれを感じている。その万能感にも近い感覚に包まれた状態で、大衆ウケを一切気にしない方向で暴走したかった。
 現に、Aiobahnのメロなんて通常では考えられない。ラスサビのために前半を「溜め」にいく手法、賭けすぎる。実際、編曲するまで「理解が及ばない」と複数人に言われました。そのたびに募る「いける」という確信。いま感度がビンビンな男たちが作るのだから、他の人間を置いてけぼりにしなければならない。「今回いいね」と一発で偉そうな大人から納得されては絶対にダメだと信じていました。そんな中MVができあがり、自分たちの中でも「過去の自分を超えた」と勝利を感じられた。これが何より嬉しかったのです。
 前作の頃は、右も左もわからないまま「若さ」だけで生んだもので、今回はゲームをリリースできた「自信」や「実力」が込められている。そんな過程をみなさんは一片たりとも気にしなくていいですが、こんな文章まで読んでくれた殊勝な方はちょっぴり意識してもらえたら嬉しいな。
 

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