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一口エッセイ:好きな服を纏う

 久々にラブレターを開いたので、たまには読者の質問へ答えていきましょう。今回はファッション、特にロリータ服の話ですかね。

 この質問。省略すると「ロリータが着たいけど周りの目が気になる!」ですね。そして、もう一つ。こちらは質問ではなく感謝の報告。お手紙ありがとうございます。

 ニディガ製作中あたりから、とにかく「超てんちゃん」というキャラクターに実在性を持たせるべく、考え抜いた末に、顔やファッション、アクセサリーについて学ぶ必要があると感じた。でないと超てんちゃんのセリフに説得力が消える。
 どんなジャンルも知っていくと面白い。ハイブランドが高級であり、そのブランドを誇る理由や経緯はどれも興味深く、特にヴィヴィアン・ウェストウッドのパンク精神はマンソンに通ずるものがあって気に入った。なので僕のピアスはヴィヴィアンだ。このような形で服やアクセを知っていくとどんどん欲しくなる。そのデザイナーの精神性を纏うことで、己にも品が生まれるような感覚が嬉しかったのですね。
 これは半分正解で、半分間違い。ただ好きな服を着ているだけで自分が磨かれることはない。それなら誰もが高級な服を着ればいいだけになる。2枚目の手紙の方が10キロ落としたのはとてもえらい。そのような努力を持って「自分はこの服を着る人間になるぞ!」と堂々とすることで、ファッションが成立するのだと理解したのですね。

 最近の僕は、ほとんどヨウジヤマモトを着てます。最終的に白と黒のモノトーンがもっとも落ち着くと感じ、これは男のゴスやパンクに近い。僕は女性に生まれたら間違いなくゴスロリを着ていた。ゴス欲求の発露。ちなみにこの服装になってから極力カバンを持たないようにしている。ヨウジの思想としてカバンでシルエットが変わることを良しとしないからね。
 実は超てんちゃんアンソロを担当した編集さんの一人がファッションオタクで、僕の服をよく褒めてくれる。嬉しい。こんな服を着ていたら、誰でも「こいつ普通じゃない」と認識される。僕も初対面の人にはまずアパレル関係の人かと訊かれます。その時に、「変なゲームを作って文章を書いている」と答えると納得されます。「変なやつならこんな服装」だろうと。ロリータ服でも近い現象が起きるでしょう。ロリータも同じく「かわいさ」の気品を、ゴスロリは「恐怖」の気品を纏う。その際、周囲の目線は「あなたにその資格があるか?」と訴えてくる。これはとても怖いことだが、目立つとはそういうことだ。
 なので、一枚目の方も努力する必要はある。化粧を練習したり、ダイエットしたり、ブランドの背景を勉強することとなるでしょう。それはフリフリのドレスと真逆で地味な努力だ。しかし、その結果は確実に本人の人生を、美意識を磨いてくれる。「好きな服」という概念は、総じて購入者に気品を与えてくれる筈です。僕も、余計な食事はほとんどせず、イヤでイヤで仕方ない運動を毎日続けた結果、今は50キロと少しの体重に。服に負けないためにね。社会の「俗」から自分の心をガードするため、僕らはドレスを纏って魂を穢さずに歩く必要があるのです。


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