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一口エッセイ:いろんな編集さん

 編集さんと打ち合わせをしました。
 僕には、5.6人くらいの何らかの編集さんがついており、全員とつねに仕事をしているわけではありませんが、定期的に連絡をしたりTwitterを監視されたりしています。何かあったら助けてくれる良い方たちです。この前、その一人から万年筆を買っていただきました。嬉しいね。「ペンを見るたび原稿へプレッシャーを感じてもらいたいから」という理由らしい。恐ろしいぜ。もちろん普通にプレゼントの意味合いも大きいでしょうけどね。ありがとうございます。


 それぞれの編集と何の仕事をしているかは、少しずつゆっくり明かされていくでしょう。企画が水面下で進行して発表できない段階、いちばんもどかしくて苦しいね。今年ものんびり仕事をしていきますってことで。

 で、今日打ち合わせしている編集さんだけ歳下の方なんですよ。僕のちょっとだけ下の26歳。今まではネットで僕を見つけて何故か気に入ってしまった風変わりな編集者の大人が「お前の才能を試してやるぞ!」みたいなノリで連絡をしてきたんですよね。それに対して僕も「よ〜し、やってやるから見てろ!!」って気持ちで臨む。何度もコケましたね。売れないっていうのは単純にキツい。自分への期待とコストを裏切るわけですから。最初の頃は申し訳なさでいっぱいでした。それでも出版社側は「はじめは失敗するのが当たり前で、作家を育てていくのも編集の役割だから」と言ってくれた。長い目で付き合ってくれる大人の余裕。カッコいいぜ。
 僕は父親が居なかったので、こういった男性のおおらかさを見せられると弱いのだ。無意識に渇望している父性を感じてしまう。「この人に褒められたい!」と決意するんですね。おかげで、最近は僕が携わった本なり企画がちゃんと売り上げ的にも出版社が得するようになって、恩返しをできるようになりました。これは嬉しいよ。よくまあネットで胡乱な発言や記事を投稿しているだけのカスを商売になるまで見守ってくれたものだ。改めて感謝しかない。

 こんな関係ですので、たまにネットに流れる編集への不満とか全くない。みんな好きにやらせてくれるし、社会性のなさまで計算に入れて調整してくれる。寝坊とか発狂とかまで「それがお前だから」と許す。頭が上がらない……。一回り上のベテランだから部署内の立場が強くて融通が効くのもデカいか。僕は歳上に好かれやすい。レトロな作品や歴史を好むタイプのサブカルだからね。
 一人だけ嫌だった編集がいて、そいつはシンプルに嘘つきでした。僕が表で他人を批判するなんてよっぽどだぜ。「○○先生を連れてきてやるこら俺に従ってまずはカクヨムで××をテーマに作品を書け!!!」と言われて、???となったので逃げた。デカい会社の末端にはそういうのもいるらしい。後に○○先生に「あの編集さん知ってますか?」と訊いたら「だれ?」と返ってきた。実力不足はよくても嘘はよくない。
 あとは、新人の方が一瞬だけついたことがあり、「こういう展開を入れるべきだ!」と無理やり性的なシーンがねじ込まれた。それはすごい嫌だけど僕も素人なので従った。後に編集長から聞いたら、「新人編集なので何かしなきゃ!と空回りしたんだろうね」と言っていました。これは気持ちはわかるので恨んではいないです。そういうことってあるよね。別の作家の方も近い体験があったらしく新人あるあるらしい。担当なんだから何かウケそうな要素を足したくなる。もしかしたらそれが功となるかもですが。可能性は……。


 話は戻り、今晩僕と打ち合わせしている編集さんは唯一歳下です。ついに僕も「先生の作品が好きだから一緒に作品を立ち上げさせてください!」と頼まれる立場になったのだ。角川で連載していたシェアハウス漫画から気に入ってくれたらしい。あの漫画も自分としては実力不足を感じていたのですが、こうして気に入ってくれた業界人や読者も少なくないのだから(たまに感想を送ってもらえる)、種は撒けていたのですね。そう、活動はいつ花開くかわからないから、とにかく種を蒔いていくしかないのだ。
 今までの編集は「小僧、俺に実力を見せてみな」という接し方だったので、とても新鮮です。彼とはそんなに年離れていないけど。
 吉と出るか凶とでるかはまだわからない。一回り上の相手を納得させるプレッシャーより、元は自分のファン寄りの歳下からの期待に応える方が実は性に合っている可能性はある。なんにせよ「あなたと仕事がしたいです!」と声が掛かる側になった。10年後とかにも、期待の新人が「ニディガ好きでした! 先生、もう一度デカい花火をあげませんか!」のような連絡をしてくるのだろう。そういう番か僕も。
 もう尖った新人育成枠ではないんだなぁ……。嬉しいような寂しいような。なんにせよこれからも大人や若者の眼差しに応えられるよう精進せねばならない。……やだな〜。

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