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一口エッセイ:「俺たちに翼はない」と王雀孫が描く人間の魅力

 今夜に放送されたプリコネ2期が「なかよし部」をメインにした回で、これがとても良かった。1期5話に並ぶほど好きだな。さて、この「なかよし部」の原作シナリオを担当したライターこそ、僕ら美少女ゲームオタクが信奉する王雀孫その人であり、本人自ら監修したこの回もたいへん王雀孫特有の会話のテンポが活かされていて、もうファン感涙です。

 そんな氏の軽快なギャグを中心としながら、美少女ゲームらしからぬ現実的な人間の本質を描く筆力を体験したければ、「俺たちに翼はない」をプレイして欲しい。このゲームは複数の主人公が存在する構成で、中でも「池袋ウエストゲートパーク」のような空気感を美少女ゲームの文脈で再現した章が人気ですが、今回は人を選ぶ一章の話をします。


 俺つば一章の主人公は、いわゆる「アニメ的なぼっち」ではなく、本物のぼっちです。クラス全員からどことなく避けられ、それが理不尽すぎる訳でもなく、本人が陰気+オタク趣味なネトゲ廃人。リアリティのあるオタクの気持ち悪さが展開され、ヒロインから「得意な話題だと早口になるんだね」と引かれるシーンなどから、現実的なダメージを負ってしまうプレイヤーも少なくないのでは。
 この不器用な人間たちを真っ向から描いていくことが王雀孫シナリオの魅力。クラスのぼっちがぐうぜん美少女と交流するようになり、試行錯誤しながら成長していく。これをアニメ的な都合良さでなく丁寧に「陰」の努力と欠点を描写していくのだから、「オタク」と真に向き合った結果なのだ。
 そういった機微を描くライターが作り上げた美少女3人組、素晴らしいキャラたちだったぜ。

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