見出し画像

にゃるらが選ぶ! 一度は読んでほしいエッセイ厳選10冊


 僕は毎日Twitterに日記を、まぁ日記と言いつつほぼエッセイ的なモノを投稿しているわけでして、当然他人のエッセイというか思考を知るのは好きだったりするのです。今回は、せっかくなので皆さんにも僕が好きなエッセイを10冊紹介していこうと思います。読んでみてね。

1.超人計画/滝本竜彦

「NHKにようこそ!」の滝本竜彦が贈る、前人未踏の妄想小説!
ひきこもり新人作家は気づいた。辛い現実を前に立ちすくみ、ダメ人間ロードを突き進む自分を変えるには「超人」になるしかないのだと――女神のごとく降臨した脳内彼女レイちゃんと共に、進め超人への道!!

 やはり、少しでも文章を書いたことのあるオタクの憧憬の頂点は、この一冊の表紙に集約されるのではないでしょうか? ダメオタクの汚れた部屋にそっと現れる美少女=綾波レイですからね。この表紙は本当にカッコいい。オタクの夢そのものなんですよ。
 内容も滝本さんらしさ全開で面白い。新人作家となった滝本さんが、いかに虚無感とルサンチマンを乗り越えながら生きていくかが描かれる。まだオタクが世間から疎まれていた時期の、オタクの葛藤が伝わります。

 急に自作の話になりますが、自分の部屋に美少女が出現するイメージを伝える際に「超人計画」の話を、背景描いてくれた方としました。僕の部屋に美少女が舞い降りるという夢が叶ってうれしかったです。


2.八本脚の蝶/二階堂奥歯

目覚めなさい。現実から目覚め、「私」から目覚めなさい。もっと深く夢見たいのなら―。二十五歳の若さで自らこの世を去った女性編集者・二階堂奥歯。亡くなる直前まで書かれた二年間の日記と、作家や恋人など生前近しかった十三人の文章を収録。無数の読書体験や鋭敏な感性が生み出す、驚くべき思考世界と言語感覚。著者没後十七年、さらに鮮烈さを増す無二の一冊。2016年本屋大賞・発掘部門「超発掘本!」

 25歳でこの世を去った女性編集者の日記をまとめた一冊。表紙とタイトルが美しいですよね。二階堂さんはかなりの読書家であり、本書には数多くの本が引用されるので、読みたい本を探すのにもうってつけです。「本が好き」というのは、こういう人のことを言うのでしょうね。
 文体がすごく綺麗な人なので、それだけにどんどんと鬱が悪化していく様の描写は真に迫るものがあります。

3.二十歳の原点/高野悦子

(1949-1969)栃木県那須郡西那須野町生れ。立命館大学文学部史学科に入学する。社会・政治問題に関心を持ち、部落問題研究会に入部したり、学内バリケードに入るなどの活動を経験するが、20歳6ヵ月で鉄道自殺を遂げる。中学時代から書きつづけていた日記が、死後に『二十歳の原点』(1971)、『二十歳の原点序章』(1974)、『二十歳の原点ノート(1976)として出版され、いずれもベストセラーになった。

 こちらも若くして自ら生命を絶った女性の日記です。時代が僕らと全く違うので、その時代性を想像しながら読むと、現代では想像できない苦悩が伺えます。
 二十歳以前の日記も刊行されており、そちらはさらに思春期の女性のあれやこれやが赤裸々に描かれているので、他人の日記を読むという行為への罪悪感を覚えるほどの読み応えがあります。

4.90くんところがったあの頃/大槻ケンヂ

1999年7の月、空から恐怖の大王は降りてこなかった・・・。(「ノストラダムスの大予言 大はずれ」) 90年代に起こったあれこれを鬼才オーケンが気ままに綴る。 21世紀を生き抜くための叡智がここにある。

 90年代のサブカル文化について、オーケンが面白おかしく語ってくれる一冊。インターネットが登場したり、プレイステーションが販売されたり……夢とオカルトにあふれた90年代の様子をアーティスト視点から覗くことができます。僕がまだ生まれていたものの自我はなかった頃の話なので、自分が母の乳を吸っていた時に、大人はこんなことをしていたのか! と色んな発見がありました。

5.神菜、頭をよくしてあげよう/大槻ケンヂ

究極のイケメン・アイテムを手に入れ、奇跡的につまらない映画を探し、火を噴くストリッパーを礼賛。ドラッグ禁止を訴えて、時には、恋とはなんでしょう? なんて恋愛について論じたり。音楽活動、マニア本、ちょいエロ話、ぬいぐるみ愛、UFOについてなど、単行本未収録作品も含めた“のほほん”エッセイ44本。きわめておかしく、ときどきほろりな人気エッセイ・シリーズ。

 オーケンのエッセイは無数にありますが、その中でも特にバランスが良い(ような気を勝手に感じている)一冊。「香菜、頭をよくしてあげよう 」が特別好きだから贔屓目もあるかもしれませんが。恋愛の話とか、オカルト・サブカルの話とか、良い感じに刺激的な話がのほほんと混ざって、読後感が楽しい一冊。
 「香菜、頭をよくしてあげよう 」についての話は、一度書いたことがあるので良ければ読んでみてくださいね↓


6.男の!ヤバすぎバイト列伝 /掟 ポルシェ

サブカル界の兄貴、掟ポルシェが全裸で書いたナメたバイト遍歴&破天荒な生き様がここに!
バイトって素晴らしい!
って本じゃねえからな!!! ――― 東村アキコ(漫画家)

 誰だってバイトで不義理やちょっとした迷惑を掛けたことはあるでしょう。その自責の念から「俺ってクズなのかな……」と不安に襲われた夜もあると思います。しかし、大丈夫! 掟ポルシェよりは職場に迷惑をかけていないから!
 読むと逆に元気が湧いてくるくらい、破天荒な労働っぷりは、世のちょっとしたクズたちに、「俺たちまだまだまともな方なんだ!」と勇気を与えてくれます。そんな凄い一冊なのです。

7頭の中がカユいんだ /中島らも

何かワケありの僕は、ある日、突然、妻と子を残して家出する。勤める小さな広告代理店に、寝泊まりするようになった僕。TV局員をはじめ、いろんなギョーカイ人たちと、夜に、昼に、昭和最後のヒートアップする大阪を徘徊する日々。次々とトンデモナイ事件が起こる中、現実と妄想の狭間で僕は……。中島らも自身が「ノン・ノンフィクション」と銘うった記念碑的処女作品集。

 この本も、先ほど紹介した書籍のように、「大丈夫、中島らもより荒れてはいないから!」と勇気がもらえます。ドラッグとアルコールで、どんどん頭の中がカユくなっていく、中島らもの生き様を追体験してください。 

 この本についても話したことがあるので、良ければ購読して読んでみてくださいね↓

8.アマニタ・パンセリナ/中島らも

睡眠薬、シャブ、アヘン、幻覚サボテン、咳止めシロップ、毒キノコ、有機溶剤、ハシシュ、大麻やLSDもあれば、アルコールもある。ドラッグのオンパレードである。著者自らが体験したリーガルなものもあるし、話に聞いただけのイリーガル・ドラッグもある。古今の作家の生活や名著などもひきながら、話は「人はなぜ快楽を求めるのだろうか」へと進む。煙の向こうにひとの本質が見え隠れするような傑作ドラッグ・エッセイ。

 こちらは、中島らものドラッグ部分だけが綴られたエッセイ。睡眠薬から覚せい剤やLSDまで、あのドラッグとこのドラッグってどう違うの!? という疑問が解消されていきます。こんな簡単に手に入る睡眠薬は本当に危険なものだと、僕も思っております。

9.卒業式まで死にません/南条 あや

初めて手首を切ったのは、中学一年のときでした――。渋谷、ゲーセン、援交、カラオケ。青春を謳歌しているイマドキの女子高生かと思いきや、実は重度のリストカット症候群にしてクスリマニアだった南条あやの死に至るまでの三ヶ月間の日記。行間から孤独と憂鬱の叫びが溢れ出る、同じ悩みを抱える十代のバイブル書。

 少しでもメンヘラに興味関心があるのであれば、必読です。どういう気持ちでリストカットを行うのか、ODに手を出してしまうのか、そういった話が日記の形で展開されていきます。
 最も感受性が豊かであるだろう女子高生の全てが掲載されているわけですから、これはバイブル書と紹介されるだけの迫力はあるのです。

10.快楽主義の哲学 /澁澤 龍彦

人生に目的などありはしない──すべてはここから始まる。
曖昧な幸福に期待をつないで自分を騙すべからず。
求むべきは、今、この一瞬の確かな快楽のみ。
流行を追わず、一匹狼も辞さず、世間の誤解も恐れず、精神の貴族たれ。
人並みの凡庸でなく孤高の異端たれ。

 澁澤龍彦って、普段からこんなこと考えているんだ……という事実が分かって興味深い。そりゃ、日常的にこんな思考をしているなら、歴史に名を残すよなって納得があって面白いです。


 みんなもいっぱい日記やエッセイを書いて、自意識をたくさんインターネットに残していきましょう。

サポートされるとうれしい。