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『イヴ・サンローラン展』とモンドリアン・ルック
国立新美術館で開催中の『イヴ・サンローラン展』へ行きました。誘ってくれた謎解き作家の常春さん、恐山さん、ありがとうございます。忙しい時ほど、こういった息抜きや刺激がないと前に進まないですからね。本当にありがたい。
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壮観!
どこを切り取っても煌びやかな服。服。服。そのどれもにサン・ローランが込めた気品が刻まれており、纏う女性たちに自信と品格を与える。僕はモンドリアンが好きなので、コンポジションをテーマにした洋服目当て(あとサンローランはマリリン・マンソンとコラボしたから好き)でしたが、ハイブランドがなぜ高級であるかの体現を目の当たりした女性たちの眼差しはまったく違う。
観覧中、恐山さんが「女性たちは自分事としてとらえてますね」と話してくる。そう、彼女たちは女性たちのためにデザインしたドレスたちを着る側なのだ。まるで恋のように展示物の虜にされた彼女たちは、きっと脳内で瞳に映る魂を自身が着こなして街を闊歩する姿を夢想する。「女性らしさ」から抜け出そうとしたサンローランのデザインする「強さ」と「自信」を得た自分の気高さに浸る。なんと素晴らしい展示であることか。
さて、サンローランが生涯掛けて創りあげてきた名作たちの中に、僕のお目当てがあった。
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ピエト・モンドリアンの絵画をミニドレスに落とし込んだ『モンドリアン・ルック』です。1965年の作品で、まさか実物を拝見する機会があるとは思いもしていなかったので心躍る。幾何学模様のシンプルな美しさ極まった抽象的アートの極北とドレスの融合。大胆かつセンセーショナルセンスを堂々と登場させたことにより、サンローランの名はさらにファッション界へ轟くこととなる。
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右を向くと色違いバージョンもあってビックリ。こちらは初めて見た。2Pカラーが存在していたとは。恐らくモンドリアン自身は使わないであろうダークな配色がサンローランならでは。
しかし、凄い。服を纏ったモデルでなく、洋服そのものの展示にこれだけ盛況に人が集まる。生涯をかけて世の女性たちへ勇気を与え続けた男が築きあげた色鮮やかな城だ。
話は脱線し、この前上海のデパートでモンドリアン柄の冷蔵庫を発見しました。
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あのコンポジションがポップな冷蔵庫に大変身! これを置くなら部屋中を三原色にする必要があるし、実現したらもはやゴダールの映画である。
こうしてモンドリアンは「かわいい」方向へ解釈することもできるし、サンローランのように「ハイセンス」に取り入れることもできる。これも極限までシンプルに拘り、受け手側の感受性に委ねた芸術性ゆえでしょう。他者の回顧展で申し訳ないですが、「やっぱりモンドリアン好き……」という感想が真っ先に出た。そのモンドリアンにファッションを見出したサンローランも好き……。
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せっかくなので、メインビジュアルのポーズで常春さんに撮ってもらったら見事にブレていた。あまりに直線すぎるモンドリアンの線に対して、ポーズも半端でぶれぶれな僕。偶然にもいい対比が生まれたんじゃないかと気に入っております。
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