どんどん作中一のオタクとして尖っていく本田の変遷と、一番のオタク友達としての両津と本田の関係の話
・一番のオタク友達としての両津と本田の関係の話
こち亀が終盤にいくに連れ、オタクネタやインターネットの流行を積極的に取り入れていったのはみなさんもご存知だと思いますが、両津というキャラクターは基本的にミリオタです。多趣味で何にでも手を出す両津ですが、根本の部分では戦車やロボアニメが第一のタイプのオタク。
そこで美少女要素をメインにする回にて、美少女文化を両津に説明するため、回を追うたびにオタクと化していったキャラクター、それが本田速人なのです。
尖りすぎた結果なのか、最終的に両津に振り回される役を「雑 学(ざつ まなぶ)」という、名前からして一発ネタのキャラクターに出番を取られる始末……。
↑この見るからにモブなキャラクターに負ける羽目に。
が、それだけに両津のオタク友達であり悪友といえば、間違いなく本田です。あのサブカルチャーの塊のような両津が最もオタクとして信頼し、気を許すことができる相棒が、初期はバイクに乗ると暴走するだけが個性だった本田に落ち着く。
今回は、両津の一番のオタク友達としての本田の話をしていきます。
・どんどん作中一のオタクとして尖っていく本田
初期の本田は「普段は大人しいがバイクに乗ると暴走してしまう二重人格キャラ」として登場しました。バイク以外に趣味がなく、部屋中もバイク関連グッズだらけ。
あまりにバイクにしか興味がないので、両津が無理やり趣味を与えようと奮闘する回すらある程。それでも本田にはバイクしか無いという結論になるのですが。
振り回される役も別のキャラクターが存在する時代なので、適当な巻を開いても一冊まるごと本田が居ない時期もあります。たまに両津が思いついた悪巧みにそれなりに乗ってきたりも。乗り物ネタ、暴走族ネタの際に主に登場。
本田の良いところは、ちゃんと本人も調子に乗るので、最後まで両津についてくることです。なので、オチではお互い逮捕されたり減給されていたり。こういう下地が両津との信頼関係に結びついたのかも知れません。
そんな本田の新たな役割が恋愛キャラ。作中でも珍しく彼女をとっかえひっかえ。上手くいってもいつの間にか自然消滅していたりと、可愛そうな恋愛遍歴でしたが、最終的に落ち着いたのは乙姫菜々。
アニメ声で大人しい上に大人気少女漫画家というオタクの夢のようなキャラクターを引き当てました。
この頃には、ちゃっかり本田のオタク属性が付けられ始め、乙姫菜々と出会う回(94巻)では、少女漫画が大好きという設定に。
少女漫画家という話を作りやすいキャラクターであるため、乙姫菜々がメインの回は多く、付随して彼氏である本田の出番も増えていきます。
ちなみにこの回の両津は妙に詩的で、乙姫に会いに行くことを「竜宮城へ行く」と表現したり、乙姫菜々の容姿を「ガラス細工のよう」と評したり。秋元先生自身が少女漫画にハマっていたのでしょうか?
あの、こち亀一の名シーンも乙姫菜々絡みです。
そんな本田のオタク要素が決定的になった回が98巻「電脳ラブストーリー」。
素晴らしいサブタイトル。秋元先生もお気に入りだったのか、この巻の表題作に。
詳しい内容は下記リンクで。
ギャルゲーを遊ぶために本田が派出所へPCを持ってくる回です。内容はときメモに近いのですが、ときメモをもっと直接的にパロディした「どきメモ」の登場はまだ先。
この回の本田は一貫してキモオタで、ヒロインたちの言動一つ一つに一挙一動。美少女の彼女ができてすぐギャルゲーに乗り換える生粋のオタクっぷり。ちなみに、この回での本田は何万もヒロインに貢いでしまう。
中川がぼそっと「ゲームで遊ぶためにパソコンを買うなんて」と呆れているコマが印象的。
90後半の巻から110巻あたりはオタクネタが多めに。
「ソーシャルゲームの未来を予知していた」と話題になった、アーケードゲームの美少女に課金し続ける本田が見られるのは105巻。既に一度痛い目にあっておいてこれである。今の時代でも立派にガチャを回し続ける養分化した彼の姿が目に浮かびます。
生来の気の弱さや、少女漫画好きで女性に弱い設定、美少女のためなら両津すらドン引きさせる個性が追加されていき、ついに本田は「バイクに乗って暴走する気弱な青年」以上に「流行のオタク文化へ真っ先に飛びつく両津の悪友」へ。
・秋葉原ブーム
そして世間では秋葉原ブームの時代に。
実はあまりこち亀では登場していなかった秋葉原も、150巻台から両津の主な通い先の一つに。
中でも151巻「ようこそアキバへ御主人様の巻」では、すっかり本田は作中でもトップのキモオタキャラとなり、秋葉原内では両津をナビゲートするように。
交通課の同僚でこっそりメイド喫茶で働くオタク警官の「雛野」が初登場。本職があるのに関わらずメイド喫茶でバイトするイカれたキャラクターです。
すっかりキモオタとなった本田。
DSやWiiなどゲームの発売日には欠かさず登場して両津と遊びに行くように。ゲームに疎い麗子に対し「えー知らないのっ」とマウントを取る本田の顔が非常にウザい。
二次元のみならずメイドやアイドルなど、次元を問わずに萌えてしまうオタクになった本田。
バイクしか趣味がないと両津に叱られていた過去は遠く消え去り、事あるごとに両津に秋葉原文化や現代のオタクの流行を解説するポジションに収まったのでした。
バイクに至ってはコテコテの痛車に。ヘルメットまでも美少女のステッカーが。
しかし、見てくださいこの二人の仲の良さ。上下関係も一切なく、オタク友達としてメイド喫茶で雑談する、どこにでもいるオタク仲間のような関係。
ミリオタの両津と典型的な美少女オタクの本田。今まで部長に若者文化を伝える役だった両津が、ついに本田という本物の若者枠から教わる役になっているんですね。
本田が90巻台から積んでいったオタク要素の積み重ねが、150巻近くになって秋葉原ブームと重なり、両津のオタク友達としてようやく実ったんです。こち亀の巻数でしかなし得ない濃密な関係性なんですよ。100点!!!!
まぁ、その結果が雑学に出番を取られる結末なんですけど。
いつか、こち亀と秋葉原の関係も記事にしてみたいですね。
これは、「ドラクエの話が通じるようになったのでめっちゃ陽気に乗り込んでくる部長」です。
さよなら。
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