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一口エッセイ:修羅場と脳内麻薬

 修羅場っている。
 夏コミのせいです。全国のオタクたちが一カ所に集まる汗臭いお祭りに出展し、そこでの製作物を間に合わせるため、これより我ら修羅に入る。


 壁だよ。しかもスペース二つ分使っているよ。ありがたい……。当日、みんなが並んでくれると嬉しい。そのためには、まず僕がたくさんの文章を書き、いろんな人に連絡や進捗確認を行う必要があるのですが。がんばる……。
 とはいえ、このヒリツキは存外悪くない。どうせでるならデカいことやりたいと、本来ちょっとしたグッズや本を作ろうって話だったものを完全に無視し、すでに何百万かのお金をかけてあるモノを作っています。急に美少女ゲームへの愛が溢れてついついやる気になってしまったのだ。何を作っているかは、もっと完成間際になってからお見せしますね。

 チラ見せ。イラストは、昔から大好きなあの人にお願いしています。それもまた来月あたりに詳しく話しますよ。まずは、僕が書き終わらないと全てが台無しになって何百万ものお金が飛んでいくのだから……。
 望んでいたのでしょうね。魔の締め切りに追い込まれ、拘りと妥協と執念とアイデアをない混ぜにして精神を削り作品を完成させる、あの恐怖とドキドキを。実は水面下でもまだまだ企画があり、僕は非常に忙しい。プロデューサーもそれを見兼ねてコミケは軽いグッズでいこうと提案してくれたのですが、むしろ僕はここでさらに業務を増やした。
 これは総監修の立場で、しかも自分も製作の核でないと理解できない感覚ですが、集団製作における修羅場のアドレナリンは凄まじい。先述したように、僕が折れたら何百万のお金を損する。延期や中止をするだけ、金銭と信頼と人間関係が水泡に帰す。僕はすでにゲームを延期させた前科もあるが、コミケはもう絶対に日程を動かせないのでゲーム以上にプレッシャーもある。泣いても笑っても開催日は変わらない。
 ここで重要なのは、とにかく「折れない」ことだ。なぜなら総監修というか、そもそも僕が作りたいものをたくさんの人に協力して頂いている形なわけで、僕が倒れたり病んだり、もっと現実的には連絡が滞ったりしたら、全員の士気が下がって「終わる」。完成系が脳内にあるのは僕だけなので。これはゲーム製作時からそうで、どんなに心で苦しんでいても、各スタッフの連絡には明るく返信し、前向きに進捗を報告しなければならない。大嫌いな言葉だが「責任」なのですね。プロデューサーとも一蓮托生だけど。いっしょに地獄へ堕ちてもらう。
 この責任と期待に応える気持ち良さは麻薬以上。まあ麻薬自体が楽して報酬系を刺激するモノなのだから、正しい手順で成功して脳内麻薬の報酬を得ることが最も気持ちいいのは当然。僕は元よりパチンカスでヤク中なのだから、「集団製作の指揮を取る」という巨大なギャンブルの快楽を覚えてしまったからには、それを追い続けないと満足できない。だから夏コミも挑んじゃったんだ。今夜も徹夜でニチアサへ臨む。たぶん今月はかなりキツキツで動く。が、そうじゃないと気持ち良くなれないのだから仕方がない。
 と、まぁここまで言うだけあって、上手く進めば夏コミの製作物は自信作になりますから、期待してくださいね。その上で凄くニッチなモノだしどうしても安くもできないような特殊なことをするので、僕らの自己満足について来れる人だけでいいです。せっかくコミケで「同人」扱いなんだからわけわからんことに挑戦せなあかんでしょうという意気込み。
 この日記を書いた直後すら、まだまだ何万文字も書いていく。僕以外のメンバーも修羅ってもらってたりする。申し訳ないけれどもお互い頑張っていくしかない。正当な形で報酬系を刺激を得るために、狂気の沙汰ををやっていく。


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