見出し画像

一口エッセイ:僕の鼻の病気について一気に書く

 嗅覚を取り戻すため、東京の大きな病院に通っていましたが今回もダメでした。
 「街の耳鼻科→東京のでかい病院の耳鼻科→東京のでかい病院の耳鼻科の強い医者→東京のでかい病院の形成外科」と紹介状に沿って通院していたのですがやはり難しいようで、次は耳鼻科がめちゃくちゃ強い東京のでかい病院の紹介状を頂いたので、今度はそちらへ向かってみます。
 さて、何度か小出しで自身の生来の病気や変遷について書いてきましたが、遡ったりするのも面倒でしょうし、誰かに訊かれた際に説明し易いようにまとめてみます。

 まず、僕はそもそも嗅覚がない状態で誕生したのですが、それは感覚でなく物理的な問題です。なぜか生まれた時から鼻の奥の骨が異様に狭くほぼ塞がっており、鼻から酸素が奥へと運ばれないのです。つまり、鼻呼吸ができないし骨で遮断されるので匂いも感知しないのですね。運ばれる酸素量が少なく口呼吸を強いられるため、自動的に口内環境と視力の悪化(鼻と連動している)、呼吸の浅さによる不眠も伴ってきました。最近まで保険証がなかったものの(理由は後述)、今はどうにかなったので口内環境や歯列は検査や矯正、視力はICL手術で無事に回復しつつあります。不眠については睡眠薬頼りです。呼吸の浅さだけは鼻が治らないかぎり根本的な解決になりません。

 なので、子供の頃から入院と手術を繰り返しており、毎年手術のため二ヶ月ほど入院していました。鼻の奥の骨を広げようと管を通したり、喉ちんこを切断して口内からアプローチをしたり。しかし、それらは子供の身体には危険度が高く、失敗すると鼻の骨が広がり過ぎて何を喋っているのかわからなくなるため、小3の時に「成人してからにしよう」と医者と母親は諦めた。小学生にとって二ヶ月も学校に行かない状態が毎年あるのは酷だと思われ、実際そのせいで僕は教室に馴染めず引きこもりがち、母親も母子家庭かつ病気持ちである僕へと気を使い、登校しなくとも叱ることはありませんでした。代わりに本とゲームを与えてくれたし、さらに自閉症(この頃には診断されてはいなかった)だった僕にとって、好きなだけ家で遊べる環境はむしろありがたかった。歯の矯正はしてもらいたかったけれど、母子家庭ゆえにお金がないのでそこまでは言い出せませんでしたが、もはや些細なことです。
 18になり、母親の再婚相手である義父とまったく馬が合わず(思えばそれも思春期ゆえの暴走でしたが)、大学中退などを機に絶縁状態となったので、上京してフォロワーとルームシェアをする形になりました。扶養からも切られてしまったし、プライドとして僕も義父と母には一生頼らないと頑なになっていたので、いつのまにか保険証は失効。お金も保険証もないので成人して鼻の手術をするまともな健康へのルートは砂の城のように崩れていく。
 保険証もないため正しく睡眠薬を処方されることもなく、ネットの通販で海外から怪しい薬を輸入することとなります。それらを乱用して大変だった時期を経て、その間ずっと文章をブログやnoteに投稿していたため、だんだんとお仕事がもらえるようになったものの、加減がわからず、また人間関係の圧力も恐ろしくて適応障害となり、統合失調症用の治療と薬が必要となりました。さすがに見兼ねた周辺人物たちのご厚意で役所、病院を駆け回ってもらい、どうにか保険証を手に入れ7年ぶりくらいに病院へ。ようやく精神科を受診して真っ当な処方薬と診断を得ます。そこで自閉症スペクトラムであることも知りました。それは自覚がありまくりだったので、今も昔も一切気にしておりません。
 どうにか精神も落ち着き、作りたいものに向き合うためゲームを企画・製作しました。完成後、初めてまとまったお金が入り、プロデューサーが保証人にもなってくれたこともあって、冒頭に書いた目の手術、歯の矯正、鼻の診療が可能に。それが一年前くらいの話ですね。それから、幾度か病院をたらい回しに。子供の頃、琉球大学病院に居たことはわかるものの、何科でなにをしていたのか不明であることも関係し、世にも珍しい僕の症状はなかなか手術へ踏み出せないようです。母親に連絡できないから、幼少期の僕がどのような治療を受けてどう診断されていたのかのデータももらえない。過去に事例がないうえで下手したら骨が広がり過ぎて僕がしゃべれなくなる危険は残っているので、耳鼻科も形成外科もできればOKしたくないのだ。
 というわけで、今回こそはいけるかな〜と思った新宿の大きな病院も不発の形に。次は新橋の病院へと回されます。たいへんだ。いつか嗅覚を手に入れることができたら、普通の人のように香りや食事を堪能してみたかったものですが、その日はまだまだ遠そうです。ポジティブに考えるため、「僕ならお風呂入ってない汗まみれのオタクでも抱きしめてやれるぜ」とツイートしたところ、その内容を見たオタク男性二人がコミケ時にハグを所望したので、やれやれと抱きしめてやった。夏コミなので本来汗臭さがヤバかったかもしれないが僕には関係ない。オタク二人は嬉しそうに帰っていったから、まあ誰かの役に立てたのなら一旦はこれでいいかな。

サポートされるとうれしい。