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髪フェチになったわたし (24.7 pixivfanbox公開版)



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※こちらの作品は2024年7月にpixivfanboxにて掲載した作品です。
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それでは、本編をどうぞ!🙋‍♂️





今作品は「髪フェチの彼と、私と。」の5年後を描いた作品です。
前シリーズはこちらから
(前編を読まなくても、今回の作品は大丈夫です)







あれから5年。
あの日、美容室と床屋さんをはしごして、おかっぱまで切った髪は、胸に届くくらいにまで伸びた。
「ほな、帰るわ」
「また明日ね~」
同僚に手を振って、交差点で赤信号に捕まる。
………
………
………
この5年で、私の世界は広がった。
大学を卒業して、大手メーカーに就職した。入社した時から営業部に配属されている。
会社では、それなりに上手くやっていると思う。
入社してすぐは、仕事についていけなくて苦労した。
美人じゃないし、酒飲みだからモテもしないけど、それなりに楽しくやってる。




修也君とは・・・
あの日からしばらく経った後に、私から別れ話をした。
おかっぱになってすぐの頃は仲も良かったけど、髪が伸び始めた頃にだんだん上手くいかなくなって、結局別れた。
それから私のヘアスタイルも大人の女性らしさを取り戻して、今ではすっかりおかっぱともおさらばだ。

でも・・・

(いいから、早く切って。。。)

“シャキ シャキッ”
“シャキ シャキッ”
“シャキ シャキッ”

“バサッ バサッ”
“バサッ バサッ”

「じゃあこれ使うよ?」

“ヒュイーーーン”
“ジャリ,ジャリ,ジャリ,ジャリ,ジャリ……”

あの日のことはいつまでも思い出す。
刈り上がったあとの・・・
ジョリジョリって感覚、それからあのドキドキも。
修也君とはお別れしたけど、私は大の断髪フェチに目覚めてしまった。
あの感覚を、、、
そして今でもあの日のことを思い出す度にドキドキしてるわたし。
SNSも始めて、フェチのお友達もできた。
沢山の動画を漁っては、自分に置き換えて、、想像して・・・
床屋さんを通るたびに、
(ちらっ)
どんなお店か、どんなお客さんが居るか覗くのがクセになった。

そして今のわたしは、
「いらっしゃいませ〜、え、えっ」「ここ理容室ですが?」
「はい」
「お客さんですか?」
「はい」
「じゃあ、、、どうぞ……」
「あ、あの・・・、今日はどんな感じに・・・」
「2cmくらい切ってください」
「シャンプーとお顔剃りもお願いします」
「は、はい」
・・・ 私はあれから、床屋さんに通うようになった。
わたしの2ヶ月に1回のお楽しみ。
普段から覗き見して、私好みのいい感じのお店に見えたらチェックしておいて、後日行くことにしてる。
店員さんは殆ど初めての男性だから、最初は初めてだしいつもドキドキするけど・・・あの床屋さん独特の快感には勝てない。
匂いも、椅子も、刈布も、緊迫感も、Sっ気な前屈みシャンプーも、うっとりするお顔剃りの時間も。
床屋に入る時の場違いドキドキ感も最高。

なのに
・・・・・
いつしか
・・・・・
私は、他の人が断髪を受けることに快感を覚えるようになった。

昔の私みたいに・・・
床屋さんで・・・
ドキドキしながら切られてほしい・・・

想像するだけで、胸が躍る。
ネットで見つけた『ばっさりショートにイメチェン♪』って動画で、
同じくらいの女子が、顔をきゅーっとしながらザクザクいかれてたり、、、
一気にベリーショートにさせられて、
「え?え?え?」って戸惑ってる女の子。
「やだー」って言いながら、でもちょっと嬉しそうだったり、
虚無顔で鏡を見つめてる様子とか・・・
そんなの見てると・・・ドキドキしたり、 帰りの電車でマスク越しにニヤケてしまったり、ベットの上で足をドタバタさせてたりする。
でも・・・
何度も何度も通って感じるのは、美容室なら暑くなってくる時期とか、イメチェンして床にもっさり髪が落ちてる人は見ないこともないけど、、、
床屋さんは、まずあり得ない。
ネットサーフィンでごく稀にばっさり切ってる記事や投稿を見かけて、すごくドキドキする。
それだけでも十分楽しい。
のに・・・
「切られてるの見るフェチ」に沼るトドメを刺した出来事がある。
それは・・・大学4年生の卒業式の後のことだった。
ふらふらっと歩いてた通りで、
親子連れが、くるくる赤と白のサインポールの前で立ってるのが、遠くから目に入った。
(えっ…?)
たまたまかな…って思いつつ、反対側の歩道を歩いてたけど・・・その瞬間は見逃さなかった。
(あ!)
お母さんの方が床屋の扉を押して、2人で入っていったのを・・・見た。
「……ほんと?」
私は思わず足を止めて、しばらくそのままボーッと立ちすくんだ。
一気に胸の鼓動が早くなる。
それからすぐ横断歩道を渡って、反対側の歩道へ行き、さっきの親子連れの行ったと思われる床屋に急いだ。
お店の前で、もう一度立ち止まって、中の様子を探る。
でもよく見えない。
(どうしようかな・・・)
今まで自分から入店したことは沢山あっても、私以外の女子が入っていくのなんて見たことがない。
(どうしよ・・・)
このチャンスを逃したら……
もう永遠に機会はないかもしれない。
(もしかしたら、もっと見られるかも!)
そんな期待も胸をよぎる。
………
今月は床屋さんに行く予定はなくて、入社式を控えてるから、髪も切らないつもりだった。
それでも・・・
(入っちゃおうかな・・・)
私は勇気を出して扉を開けた。
「いらっしゃいませ」
「カットお願いします」
「はい。そちらでお待ち下さい」
店内は、床屋さんにありがちな独特の臭いがする。
これが落ち着く。
入店した私は、特別な視線を向けた。
さっきの女の子はもう椅子に座って、オーダー中だった。
まだ刈布はかけられてない。
前髪を触りながらお母さんと少し言い合いになってる・・・
私は、2人の会話に聞き耳を立てた。
「もう!なんで切っちゃうの?」
「いいじゃない」
「せっかく伸ばしてたのに!」
「でも、もう短めにしとかないと……」
「ちょっとくらい校則なんていいじゃん!」
「それは駄目よ」
「なんでよ!」
「ママの地元は厳しいのよ」
「だってこんな短いと、お出掛けした時とかも……」
「あっちには何もないんだから、いいでしょ」
「こんなのないよ」
「じゃあ里帰りしてから、もっと厳しい床屋に行く?」
「……い、、、いやだ」
「じゃあ切りなさい」
「もーーっ!お母さんのバカ!!」
「お兄さん、ゴメンなさいね。」
……
なるほどね……
フェチの私には、2人の会話から大体の状況がわかる・・・。
校則とかある学校に転校するのかな……
しばらくして、女の子には体に合わない大きな青い刈布が掛けられた。
彼女の表情を見ると・・・今にも崩れそうで、、
(あ、、)
私はそれにどんどん引き込まれた。
「始めます」
おじさんの声で、女の子は目をぎゅっと閉じた。
(え、、)
“ ジョキ、ジョキ、ジョキッ……… ”
切られたのは、
・・・肩くらいの長さ。
(え、そんな?)
(私が思ってたのと違った……)
でも、鏡越しの女の子の表情がとっても切なくて・・・
椅子のまわりも切られたロングヘアーで、真っ黒く染まってる。
理想のシチュエーションではあった。
そして一番ドキドキしたのが、最後の前髪カットの時だった。
女の子は・・・目をぎゅっと閉じて。
まぶたにはさみが近づいて・・・
“ ジョキ、ジョキ、ジョキッ…… ”
(!)
眉上のおでこではさみが動く。
女の子の前髪が、、、どんどん短くなってく。
リアルでは見ないくらいのオン眉に、
「はい、終わりましたよ」
おじさんの声で女の子は目を開いた。
そして・・・
(・・・・・っ)
すごく不満げな顔。
だけど、子供っぽくて可愛い!
仕上げは、
“ ブーーーン ”
“ ジョリジョリっ ”
床屋にバリカンのモーター音が響いた。
娘のほうは鼻をすすりながら、ちょっと泣き顔。
「ありがとうございました」と親子が去っていく。
女の子の手が、冷たそうに首を覆う・・・。
(あ、あの子、また来たりするのかな?)
「××さん」
「は、はい」
さっきまで女の子がすすり泣いてた席に座る。
刈布もさっきと一緒の、大きい青いやつ。
私は女の子みたいにベリーショートにはしないけど、どこか鏡越しにさっきのシーンを想像して投影していた。
まるで今この鏡に、女の子がいるみたいに・・・。
(あの子、また来るのかな・・・)
私はドキドキしながら、その日の施術を受けた。
・・・ それから何度か通ったけど、それ以来女の子のカットは見なかった。

ただその日からというもの、他人が髪をばっさり切ることに快感を覚えるようになってしまった。
しまいには想像まで・・・
同僚の事をたまにそういう目で見てしまうようになるのも、そう遅くはなかった。
でも、当然。
言えない。
「髪、切ってみたら?」
なんて。
職場でフェチを悟られるのなんて言語道断。
だから私は、自分が思う以上に大人を演じて生きてきた。
そんな私に神様がチャンスをくれる・・・

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