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『虎に翼』と『女の国会』と『成瀬』シリーズと2020年代のヒロイン

2024年上半期は『女の国会』/『虎に翼』と『成瀬』シリーズが完全に裏表だなあ、と思いつつ私は読んでいる。


1.『虎に翼』と『女の国会』と男女の役割意識

『女の国会』は国会のある法案をめぐる、さまざまな国会まわりで働く女性を描いた物語である。仕掛けとしてはミステリになっており、ある議員の亡くなった原因を考えるような小説になっている。そして、「この国でハイキャリアの女性が仕事で成果を出そうとすると、どのような女性差別を耐えることになるのか」ということも克明に描かれている。

『虎に翼』はこのマガジンでもしばしば取り上げているが、女性初の弁護士、裁判官になった女性をモデルとした寅子の物語である。寅子は法律を学ぶなかで、この国でさまざまな女性たちが置かれた立場を理解するようになる。

『女の国会』と『虎に翼』に通底しているのは、この国にいまだ横たわる「男女とか、もう良くない!?」という感覚である。

なぜなら『女の国会』も『虎に翼』もどちらもハイキャリアの女性の物語である。ある程度、学歴があり、収入がある。しかしそのなかであっても、やはり男女の役割意識が存在してしまう。ーーしかしその役割意識は、本当に必要なのだろうか? 男性にとっても女性にとっても、その役割意識は必要ないものではないのではないか?

それが『女の国会』と『虎に翼』の問いである。

『虎に翼』において、寅子は大黒柱を担おうとする。そのとき、役割意識は男女関係なくなる。『女の国会』において、女性の総理大臣が誕生するにはどうすればいいのか、という問いを投げかける。それはつまりこの国の指導者のトップに女性が立つということである。


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