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映画『ルックバック』を観てきた。

オススメだと教えてもらった映画、
『ルックバック』を観に行った。


コンクリートに降り注ぐ雨の中、
傘をさして、映画館へ。


朝の7時台。
人気(ひとけ)がない地下も、
案外、好きだったりする。


約60分の映画だった。
ひさしぶりに、本気で泣いた。


⭐ここから、ネタバレを含みます。


幼い頃、
何かの分野で、
自分は人より優れているかもと勘違いをして、
一瞬で打ち砕かれる藤野ちゃん。

うん、それな。
めちゃくちゃわかるよ。

才能が開花するには、
いろいろな要素が、
複雑に絡み合っていて。


もちろん、その時の運もあるし、
努力で乗り越えられる部分と、
そうでない部分があったりもするよね。

京本みたいに、
きっと藤野ちゃんより秀でた、
どんなに素晴らしい、絵を描く才能があっても、
早く描けなかったり、
人付き合いが得意じゃなかったり、
ストーリーをうまく組み立てられなかったりすると、
ひとりだけでは、
その才能が認められず、
埋もれてしまうこともあるし。


そして、
京本が一人立ちをしたいと申し出た時、
藤野ちゃんは、
素直にそれを認めてあげられなかった。


でもね。
京本も、いつまでも、
誰かの影武者みたいな生き方はしたくないよね。

それも、めちゃくちゃわかるよ。

京本の心は、とてつもなく澄んでいるから、
きっと、
素直に、誰かに頼らずに生きて行きたいと思って、選んだ道なのだろうけど。


わたしが京本の立場であるなら、
ずっと誰かの影で生きていくのは、いやだ。


映画の途中からずっと、
京本は、
藤野ちゃんから離れた方がいいと思ってた。


そして、
藤野ちゃんの前から、
急にいなくなった京本。


藤野ちゃんも、本心では、
京本の代わりが務まる同志なんていないことに気づいていただろうから、

急にそんなこと言われて、
すごく怖くなって、
素直に認めてあげられず、
あんな態度にでてしまったんだろうね。


目の前から、
急に誰かがいなくなると、
その大切さやかけがえのなさに気づくよね。

藤野ちゃんは、
それでもなぜ、
マンガを描いていたか。


幼い頃から、
自分が得意だと思っていたことを、
一瞬で打ち砕かれたり、
世の中には、
自分より秀でた人が山ほどいることを知ったりする中で、
頼るべき所は、
そこしかなかったんだろうね。


過去の自分を救うためだったのかも知れない。
自分への、鎮魂歌。


本当は、
もっともっとすごい人がたくさんいるのは解っているけど、
自分はすごい、
自分はできるんだ、
自分は描ける、
と信じたかったんだろうね。

そして、
いなくなった京本を救うためにも、
藤野ちゃんは、
これからも描き続けるしかないのかも知れない。