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よしの山

さんさんさくら  さんさくら

花降る晩に 窓ぎわで

いぶし銀なる 公達が 

桜と交わした 契約は

我が身人世の ちぎりなり

彼の人愛す 姫君も  
彼の人信ず 許婚も

月日たてども かわりなし

若宮 立てば  山ざくら 

はにかみ隠し  よしのやま

花吹雪 風に舞う

さんさんさくら  さんさくら

さくらの樹には なにがいる?

よしのの里に なにがある?

我れのみ愛し公達の  
その身の末路がそこにある

げに悲しきは人の業

花の精気はみな包み

さんさん さくら  さんさくら

よしのの山に さくら咲き

雨よ涙よ 花が散る